研究課題/領域番号 |
21K13407
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
呉 綺 京都先端科学大学, 経済経営学部, 講師 (80847187)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 環境マネジメント・コントロール・システム / 資源効率性 / 循環型経済 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、循環性を指向する環境マネジメント・コントロール・システム(EMCS)の成果を構成する要素を抽出し、汎用性と頑健性を備えた循環型経済指向のEMCS尺度を用いた次元構造モデルを構築することである。また、日本企業を対象にデータ取得を行うため、文化や制度面など様々な要素で日本企業に適用できる尺度開発を目指している。 初年度ではEMCSの構成要素や循環型経済戦略の導入について、下記の研究成果を得た。まず、環境マネジメントの1つのツールとしてマテリアルフローコスト会計(MFCA)をより積極的に実施している企業ほど、エネルギー消費量、CO2排出量、廃棄物発生量の面で環境パフォーマンスを向上させる可能性が高い。その結果、環境パフォーマンスを向上させた企業は、生産性を向上させる可能性が高く、特に廃棄物発生量の環境パフォーマンスを向上させた企業は、収益性を向上させる可能性が高いことがわかった。したがって、MFCA は、省資源化によって環境パフォーマンスをいくつかの側面から改善できるため、環境パフォーマンス指標の改善によって、生産性を向上させることができる。特に、MFCA は、少なくとも廃棄物の発生量を減らすことで、企業の生産性を向上させ、それによって利益を上げることができる。このことは、MFCA が循環型経済への貢献のための有効なツールであるという見方を支持するものである。 また、企業の環境活動に対する包括的なアプローチとしてのEMCSを導入している企業は、通常、環境パフォーマンスを向上させており、その達成には最終消費者や政府からの圧力が前提条件となる。しかし、これらの企業がSDGsを事業目標に組み込んだ場合、実際に環境パフォーマンスをいくらか向上させることができ、この追加的な達成には政府の圧力が重要な役割を果たすことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EMCSの構成要素について、環境マネジメントを組織的に実施するために、戦略の策定、目標設定、予算編成、従業員の動機付けを行うための公式的なコントロールシステムから質的テキスト分析を行い、フレームワークについて整理した。また、これらの酵素が循環型経済への貢献等について分析を試みた。そこで、現在の進捗は、EMCSの構成要素やCE戦略の導入について、すべて目標どおりに研究が進んでおり、一部の研究成果を発表することもできている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の進捗について、初年度の文献調査および実証分析の結果を踏まえて、日本の上場企業に対して、EMCSの構成概念にもとづいて、質問票調査の準備を行う。また、質問票から得られたデータを使用し、項目反応理論、探索的印紙分析や確認的因子分析を用いて、信頼性や妥当性の高い測定尺度を確定していきたい。それらの研究成果については国内の学会および海外の学会で研究発表を行い、ジャーナルに投稿する予定である。
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