研究課題/領域番号 |
21K13408
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
王 睿 同志社大学, 商学部, 助教 (70844372)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 環境ディスクロージャー / 国際比較 / 制度的要因 / 環境会計 / 制度論 / 実証研究 / 非財務情報開示 / ESG・SDGs |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、先進国と発展途上国の環境ディスクロージャーにおける異なる影響要素と開示動機を明らかにし、先進国における環境ディスクロージャーの影響要素や開示動機は発展途上国の将来発展の方向や実践の参考になるかを検討していくことである。また、環境ディスクロージャーに関連するESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)に対する議論も分析に加える予定である。 今年度では、中国企業の環境ディスクロージャーの制度的要因を考察するため、中国語と英語の会計ジャーナルに掲載された中国企業の環境ディスクロージャーに関する実証研究を制度的要因と内部要因に分類し、近年の研究で検証された要因と、それらが企業の環境ディスクロージャーに与える影響を整理した。文献レビューの結果によると、政府の規制が企業の環境ディスクロージャーを後押しすることが期待できるが、規制以外の制度的要因の影響は今のところ限定的であり、この点が中国企業全般の環境ディスクロージャーの質の低い原因だと考えられる。そして、この研究成果が『同志社大学商学部論集』で発表された。 また、企業のESG活動と企業財務パフォーマンスの関連性を分析するため、メタ分析に基づいて、複数の研究結果を統計学的に統合し、包括的な考察をした。考察の結果は、ESG活動と企業財務パフォーマンスの関係がポジティブであることを示しているとともに、研究間の異質性が高いことも明らかにした。そして、この研究成果を日本会計研究学会第71回関西部会で報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画は、予定通りに進んでいる。具体的には、文献調査を通じて、制度論に基づく国際比較フレームワークの構築を試みながら、各国における企業の環境ディスクロージャーの特徴に対する考察も行った。さらに、メタ分析を用いてESG活動と企業財務パフォーマンスの関連性を分析することで、環境ディスクロージャー研究の更なる展開が期待できる。
|
今後の研究の推進方策 |
文献レビューの結果を踏まえ、各国の企業環境ディスクロージャーの特徴を把握しながら、企業の環境報告書及び企業の財務データを収集・分析して、企業の環境ディスクロージャーの現状と特徴を考察する予定である。先進国(日本)と発展途上国(中国)における企業をサンプルとして、企業の環境ディスクロージャーの影響要素と開示動機を企業のパネルデータ(複数期間において観察する)によって検証する。また、ESGやSDGsに対する議論も行っていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響のため、国際学会参加の海外出張等ができず、これより、次年度使用額が生じた。次年度では、学会発表や論文の校閲(英語)などを活用する予定である。
|