研究課題/領域番号 |
21K13411
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
佐久間 智広 松山大学, 経営学部, 准教授 (40756821)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 業績評価 / 目標設定 / 主観的業績評価 / 予算 |
研究実績の概要 |
本研究は,予算目標の運用方法,特に年初に設定された予算目標の期中調整の有無が,従業員の行動および組織業績とどのように関わっているか,という疑問を取り扱う。予算は,事業計画・経営資源の配分のみでなく従業員の業績評価にも用いられることが多い。具体的には,部門の予算目標の達成度によって部門長やその部門に所属する従業員のボーナスの額が決まる,といったものである。業績評価の基準となる予算目標を期中に調整することは,目標の難易度を適切な水準に保つことを通して業績に良い影響を与える可能性がある。一方で,実績に応じて目標値が調整されることを従業員があらかじめ知っていた場合,年初の目標値に対するコミットメントが下がることを通して業績に悪影響を与える,とも予測できる。予算の期中調整が実際に従業員にどのような行動を取るよう促すかについては,先行研究で明らかになっているとは言えない。 本研究は,予算目標の選定・運用方法,特に年初に設定された予算目標の期中調整の有無が,従業員の行動および組織業績とどのように関わっているかについて実証的に検証することを目的とする。予算は企業の日々の業務の指針となるものであるため,目標値はそれが期中の活動の指針とならないほどに事業環境が激変した場合などを除き,変更しないことが望ましいとされる。一方で,予算目標は業務の指針としてだけではなく,業績評価と結びつき,従業員にインセンティブを付与するためにも用いられる。上記の通り,業績評価における目標として予算目標をとらえると,期中調整の効果は明らかになっているとは言い難い。本研究では,業績評価と結びついた予算目標の期中調整を取りやめた企業のデータを用いて,「期中調整の有無が従業員の行動にどのような変化をもたらし,結果として業績にどのような影響を与えるか」について実証的に検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画に沿ってデータ分析・共著者とのミーティングを繰り返しました。分析方法・分析結果の詳細について大筋が確定したため,日本管理会計学会全国大会で報告を行いました。 一方で,(1)想定していたよりも分析に時間がかかっています。また,(2)新型コロナウイルス流行による渡航制限によって分析についての打ち合わせや,海外の研究協力者を招聘しての共同研究やリサーチサイトの調査等が実現できませんでした。オンラインで代替できる部分については可能な限り予定通りに進捗する努力をし,実際に十分に進捗できた反面,対面で進める想定の作業については遅れが出ています。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,当初昨年度から今年度にかけて予定していた共同研究者を招聘しての実地調査や,訪問しての共同研究をおこなった上で,今年度予定していた学会やセミナー等での発表を進めたいと考えています。渡航制限の緩和状況にもよりますが,渡航可能であれば海外学会やセミナー報告等について申請時の予定通りに進捗することができると考えています。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者の招聘,海外学会への参加,共同研究者訪問等を予定していましたが,新型コロナウイルス流行による渡航制限で叶いませんでした。 このような理由により,当初旅費として予定していた金額に差額が出ています。国際渡航に関するこれからの状況によりますが,可能であれば今年度上記のような計画を実行したいと考えております。
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