研究課題/領域番号 |
21K13417
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
里村 和歌子 九州大学, 比較社会文化研究院, 特別研究者 (70837955)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 沖縄 / 米軍基地 / 社会運動 / フェミニズム / ポストコロニアリズム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ポジショナリティの複数性を踏まえた女性同士の連帯可能性を探ることである。エスニシティとジェンダー、国家とジェンダーなど、複数のアイデンティティのなかでの女性たちの連帯可能性は、第二波フェミニズム以降の現代フェミニズムが未だ乗り越えることができない学術的課題である。フェミニズムが思想であると同時に運動であるという側面を踏まえ、その解のヒントを理論的検討だけでなく、フィールドの女性たちの「声」から対話的に探ることを本研究ではめざしている。そして調査の対象となるのは、軍事性暴力の根絶、そして脱植民地主義を求める社会運動に携わる沖縄と「本土」の女性たちである。初年となる2021年度は複数の作業を並行して進めた。第一に、本研究に必要な資料及び研究文献のリストの作成とその収集の作業を進めた。第二に、軍事性暴力と沖縄のテーマについて、軍事化理論を援用しつつ理論的な検討をおこなった。そして第三に、本研究のメインとなるインタビュー調査を11月に「本土」の対象者4名におこなった。以上の基礎となる一連の作業をとおし、理論的には軍事性暴力の根絶、さらには脱植民地主義を求める女性たちが争点の違いによって対立し分断することで、沖縄への基地偏在構造が維持される状況を確認できた。さらに聞き取り調査からは、沖縄への植民地主義解消をめざす社会運動に携わることによって、ジェンダー概念の関心が惹起している状況も確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度に予定したのは、第一に本研究に必要な資料及び研究文献のリストの作成とその収集、第二に、軍事性暴力と沖縄のテーマについて理論的な検討、第三に「本土」で脱植民地主義をめざす社会運動に携わる女性たちへのインタビュー調査の実施である。第一と第二に関してはほぼ予定通りの進捗がみられた。第三のインタビュー調査に関してはコロナ禍の制約によって計画どおりの人数には至らなかったが、アプローチの仕方を軌道修正しながらおおむね順調に研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、文献リストの作成、最新の文献レビューは昨年度に引き続き作業をすすめる。理論枠組の検討については、ポストコロニアルフェミニズムとマジョリティ研究に着眼し、理論的枠組を発展させ一定のめどをつける。さらに本調査であるインタビュー調査は継続して実施する。「本土」の脱植民地主義を目指す社会運動に携わる女性たちの事例研究の成果をとりまとめると同時に、「本土」で軍事性暴力の根絶を目指す女性たちへの聞き取り調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査について、コロナ禍によって計画していた人数に至らず、結果として旅費並びに物品費(文字起こし)が次年度使用額となった。次年度に実施する予定である。
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