研究課題/領域番号 |
21K13432
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
安里 陽子 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30802582)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 移民 / 米軍占領期沖縄 / ハワイ / 農業 / 研修事業 |
研究実績の概要 |
本研究は、沖縄のパイン産業を冷戦期アジア太平洋の社会構造において捉え、アメリカ主導の研修事業にかかわった移民ネットワークの働きをまず明らかにし、そのうえで米軍占領下沖縄は複数の移民ネットワークが交錯する結節点であったのではないか明らかにするものである。 具体的にはおもに以下の2つの課題に分けて研究を進める。1つ目は、農業実習生などとして沖縄からハワイへ派遣するプログラムについて、移民ネットワークとの連関を軸に分析するものである。2つ目は、沖縄のパイン産業における重要なアクターである華人ネットワークの動向について分析するものである。 初年度である2021年度は、1つ目の課題であるハワイへの農業実習生の派遣を中心に、沖縄県公文書館、沖縄県立図書館などにおいて派遣プログラムの変遷を捉えるための文献調査をおこなった。2021年度も新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、沖縄において文献調査を実施できた期間は非常に限られたものになったが、農業分野を中心に、ハワイへの研修生派遣プログラムの変遷について文献資料を一定程度収集することができた。 その結果、沖縄からハワイへの農業分野における研修生派遣事業は、何度か形を変えているものの、1950年代初頭からという戦後早い段階から実施されており、さらに、ハワイの沖縄系住民の協力が当初から不可欠なものとして組み込まれていることが明らかとなった。 研修生の派遣事業にはさまざまな種類のものがあるが、すべての事業について資料が整理され公開されているわけでもないため、次年度以降も引き続き資料収集を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度も引き続きコロナ禍にあり、文献調査をおこなうにあたっても緊急事態宣言発令中を避けての出張や、さらには調査先でも閲覧時間の制限など数々の制約が生じたが、滞在期間中は集中して資料収集にあたった。その結果、当初予定していた研究課題にかんしては、農業分野における研修生派遣事業の概要と変遷、どのような人びとが派遣されたのかなど、ある程度把握することが可能となった。 当初より2021年度もコロナ禍にあることは想定していたため、「おおむね順調に進展している」としたが、次年度以降も引き続き資料収集を続ける予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度現在も引き続きコロナ禍にあるが、ハワイやシンガポールなどは海外からの渡航者を受け入れるようになっていることから、感染状況を見ながら現地での資料収集や聞き取り調査を実施する計画である。 ハワイでは、研修プログラムがおこなわれたハワイ大学の機関や協力団体となった沖縄系の団体での調査を実施する予定である。シンガポールでは、戦前期から1960年代にかけてパイン産業に携わった東南アジアの華人を中心に、同産業の伝播と華人ネットワークとの関連性について文献調査をおこなう予定である。 また、2021年度中に進めた文献資料の分析を進め、研究会や学会で報告をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度はコロナ禍のため、文献調査地である沖縄県に長期間緊急事態宣言が出されるなど、調査を実施できない期間が長く続いたことによる。次年度以降は行動制限が緩和されることが期待できるため、当初から予定している海外での調査に加え、2021年度に制限された沖縄での調査も回数を増やして実施する予定である。
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