研究課題/領域番号 |
21K13435
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
吉武 理大 松山大学, 人文学部, 准教授 (20879407)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ひとり親世帯 / 離婚 / 貧困 / 支援 |
研究実績の概要 |
近年、子どもの貧困やひとり親世帯の貧困が指摘されている。そのような中で、本研究は、ひとり親世帯における格差と貧困の再生産の問題に着目し、そのメカニズムと、それに即した支援策の可能性について、実証的に明らかにすることを目的としている。本研究では、貧困の再生産が生じるメカニズムを明らかにするとともに、ひとり親世帯内部における意識やサポートの差異、社会保障制度の利用につながらない要因にも着目し、効果的な支援策の提示を行う。 2023年度は、第1に、全国調査データの分析と質的調査によって、子どもの貧困を取り巻く状況と地域における支援、およびひとり親世帯を取り巻く状況と子ども・ひとり親の抱える困難について考察を行った(2023年9月,「子どもの貧困と支援」『入門・福祉社会学 現代的課題との関わりで』学文社,117-136頁。2024年3月,「ひとり親世帯をめぐる状況と困難」『入門・家族社会学 現代的課題との関わりで』学文社,71-90頁)。 第2に、全国調査の分析の結果、親の離婚という家族における経験に着目し、子どものライフコースにおける格差や貧困の問題、および社会保障制度が十分に機能していない可能性について考察した(2024年3月,『家族における格差と貧困の再生産―親の離婚経験からみた計量分析』生活書院)。 第3に、社会調査においてとらえることが難しい“Hard-to-reach population”の一つとして、母子世帯の母親における困難を取りあげ、Association for Asian Studiesの企画セッションで報告を行った(2024年3月,“Loneliness and social isolation among single mothers”)。報告への質疑応答から、日本社会の状況と海外の状況との差異や、データのアップデートの必要性が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、ひとり親世帯における困難や子どもの貧困の問題、およびその支援について、質的調査の実施や全国調査データの分析を行った。その成果を書籍として刊行するとともに、国際学会にて報告を行い、研究の成果を広く発信することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き、地域における支援について調査を行うとともに、全国調査の分析も継続して行い、ひとり親世帯における困難と支援について研究を行う予定である。加えて、ひとり親世帯内部における差異や社会保障制度の利用についても、引き続き、知見の整理を行うとともに、調査データの分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関の研究費の執行可能時期が2月末までであり、年度末の出張の費用および書籍の購入の調整が間に合わない状況となったため、4,272円の差が生じた。4,272円については、次年度の旅費や消耗品の一部として支出予定である。
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