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2023 年度 実施状況報告書

脆弱性を活かす新たな連帯パラダイムの検証

研究課題

研究課題/領域番号 21K13436
研究機関北海道大学

研究代表者

樋口 麻里  北海道大学, 文学研究院, 准教授 (80755851)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード脆弱性 / 社会的排除 / 精神障がい者 / フランス / 日本 / 国際比較 / 社会調査 / 社会学
研究実績の概要

今年度の主な活動は次の3点である。
1)日仏Web調査の自由回答の分析結果を含む、これまでの一連の研究成果をまとめた書籍を刊行した。
より具体的には、精神障がいのある人の社会的排除をもたらす社会的要因を明らかにし、雇用政策に限定されない社会的包摂のあり方を、質的・量的調査にもとづいて提案した。そして、フランスと比較して日本では、精神障がいのある人が自身の生活のあり方を決める権利をもつ主体であるという認識が浸透していない可能性を提示した。
また当該書籍では、グラウンデッド・セオリー・アプローチによる質的データの分析や、質問紙調査の計量分析、質問紙調査における自由回答項目の計量テキスト分析と、多様な社会調査データと分析方法を採用した。そのため、当該書籍は社会調査法の実践例としても参照できるだろう。
2)2022年度に投稿した、精神障がいのある人を対象とした国内の質問紙調査の自由回答項目について、計量分析の結果を国際誌に掲載した。本研究は共同研究の成果であり、精神障がいのある人が望む精神科医に対する態度として、十分な診療時間を取ることや、病気や薬物療法についての詳細な説明をすること、家族の話にも耳を傾けることなどを明らかにした。
3)国内の質問紙調査データの分析を、ジェンダー研究の専門家と意見交換を行いながら進めた。精神障がいのある人に対する社会的距離や偏見について、ジェンダーによる経験や規範意識の違いがどのような影響を与えるのかを検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究成果を書籍と論文により発表できたが、国内の質問紙調査の分析については、まだ十分にまとめられていないため。

今後の研究の推進方策

国内の質問紙調査の分析を進め、学会報告と論文発表を行う。その分析結果をもとに、海外調査の方針と内容を国内の協力研究者と協議する。

次年度使用額が生じた理由

今年度は書籍刊行と英語論文発表に注力したため、国内の質問紙調査の分析と海外調査を十分に実施できなかった。そのため、次年度使用額が生じた。これらの予算は、次年度以降、国内の質問紙調査の分析結果の学会発表や論文掲載料、英文校正費用、調査データの整理にかかる人件費、学会発表および海外調査にかかる旅費等に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] How do patients and families evaluate attitude of psychiatrists in Japan?: quantitative content analysis of open-ended items of patient responses from a large-scale questionnaire survey2023

    • 著者名/発表者名
      Natsukari Ikuko、Higuchi Mari、Tsujimoto Tai
    • 雑誌名

      BMC Psychiatry

      巻: 23 ページ: 253-266

    • DOI

      10.1186/s12888-023-04732-w

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] 精神障がいのある人を排除する社会でよいのか――国際比較調査からみる人間の価値2024

    • 著者名/発表者名
      樋口麻里
    • 総ページ数
      260
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779517747

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公開日: 2024-12-25  

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