研究課題/領域番号 |
21K13440
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
佐藤 圭一 一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (40757093)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アドボカシー連合論フレームワーク / 社会ネットワーク分析 / 政策過程論 / 政策ネットワーク / 数理社会学 |
研究実績の概要 |
本研究は、社会ネットワーク分析(Social network analysis: SNA)の手法を用いて、世界的に著名な政策過程論であるアドボカシー連合論(Advocacy coalition framework: ACF)のモデル化を行い、政策過程におけるステイクホルダー間の連合形成要因とその政策的帰結の関連を、シミュレーションと実証データの両側面から明らかにしようとするものである。本目的の遂行のため、2021年度は以下の課題に取り組んだ。 ・アドボカシー連合論インデックス(Advocacy coalition index: ACI)の完成:研究代表者はSNAを利用した具体的な指標としてACIの萌芽的なアイデアをすでに学会等で報告をしていた。ここでの議論をもとに指標の開発を完成させ、Policy Studies Journalで発表した。 ・時系列データへの当てはめ:これはACIを時系列データに当てはめる場合の応用に関して開発を進めている。具体的には、フィンランドおよびアイルランドではすでに2010年代に気候変動政策ネットワークに関する第一期のデータが収集されていたが、今回第二期のデータが新たに収集された。この二つのデータの統合をし、実際の分析を進めている。 ・複数政策選好データへの当てはめ:基礎的なACIにおいては政策選好は一つと想定して分析を行う。しかし実際の政策過程においてアクターは複数の政策選好を同時に持っている。このようなデータに対してACIをどのように応用するか。日本とインドの気候変動政策ネットワークに対してこのACIの応用手法を当てはめ、現在英文誌で査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ACIの基礎的な開発を終え、成果を著名な英文査読誌で刊行することができた。また時系列データ、複数政策選好付きデータなどの応用課題に対して、海外の研究者の協力も得ながら、具体的な分析を着実に進めており、一部はすでに査読付き英文誌に投稿するところまで至った。よって当初の計画以上に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は引き続きACIの応用を実証データに当てはめるとともに、シミュレーションによる研究を進める。 ・実証研究に関して:2021年度から継続しているフィンランド・アイルランドの時系列政策ネットワークデータの分析を進め、英文雑誌への投稿を目標とする。 ・シミュレーションに関して:SNAの基礎的なネットワークの異なる特性はどのような連合構造を生み出すのか。政策選好の分布、ネットワークの密度、クラスター化の傾向の度合いといったネットワーク特性を変化させることによって連合構造がどのように変化するのか分析を進め査読誌への投稿を目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文執筆の進捗状況から英文校閲の費用に若干の差額が生じた。2022年度に英文校閲費として使用する予定である。
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