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2023 年度 実施状況報告書

アドボカシー連合論インデックスの開発と応用:属性データとつながりデータの統合

研究課題

研究課題/領域番号 21K13440
研究機関一橋大学

研究代表者

佐藤 圭一  一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (40757093)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード政策過程 / 社会ネットワーク分析 / アドボカシー連合論フレームワーク / 制作ネットワーク / 数理社会学
研究実績の概要

2023年度は、アドボカシー連合論インデックス(ACI)およびそこから展開させた手法を用いた理論的・実証研究論文の執筆・刊行が特に大きな研究実績である。
(1)Nagel, Satoh, Henry(2023)においては、日本とドイツの気候変動政策にかかわる審議会メンバーの所属ネットワークデータをもとに、両国で審議会という場を通じてどのようなメンバー共有関係が起こっているのかを分析した。審議会という場で政策情報やアイデアの共有が行われ意見の統合が行われることを前提とした場合、両国ではこの意見統合のあり方に大きな違いがあることが明らかになった。
(2)Weible et al.(2023)においては、ACIのアイデアのもととなっているアドボカシー連合論の直近10年の理論的・実証的研究のレビューを行った。この中でACIも重要な理論的革新として紹介する内容となっている。
(3)佐藤・梁(2024)においては、ACIの指標を用いつつ、エージェント・ベースド・モデリングの手法を用いて、権力配分の不平等が促進・緩和する条件を探った。社会ネットワークにはいくつかの普遍的な形成原理があることが知られており、三者間閉鎖のうち推移性と供給源共通性と概念化できる特性は不平等を促進する一方、互酬性、同質性、三者間閉鎖のうち供給先共通性は緩和していた。以上の結果から、互いに支え合う社会、意見の違いを許容する社会、そしてローカルな場面でアクターが協働しあう社会は、結果的に権力配分を平等化させていることが理論的に導かれた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アドボカシー連合論インデックスに関連した理論的・実証的研究論文を3本刊行することができた。また、内容的にも、ACIの単純な適応だけではなく、そこからエージェント・ベースド・モデリングへと接続した論文を刊行できるなど、当初の計画よりも理論的に大きく発展した課題を扱うことができた。

今後の研究の推進方策

2024年度は大きく以下二つの課題に取り組む。第一に、アドボカシー連合論インデックスの指標を用いた気候変動政策ネットワークの多国間比較を行い、英文学術雑誌への投稿を行う。第二に、2023年度のACIとエージェント・ベースド・モデリングとの接続に関する論文を踏まえ、両者の接続がより簡単にできるよう手法上の開発を発展させる。

次年度使用額が生じた理由

おおむね分析作業自体は進展しているものの、英語論文化に時間がかかり英文校閲を中心とした予算執行に遅れが出たため。2024年度においてはこの英語論文を完成させ、論文投稿まで進める予定であり、次年度使用額については、英語論文の英文校閲料に使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 社会ネットワークの特性は権力配分の不平等を促進するのか緩和するのか? 修正Barabasi-Albertモデルを用いたエージェント・ベースド・モデリングによる検証2024

    • 著者名/発表者名
      佐藤 圭一、梁 昊
    • 雑誌名

      理論と方法

      巻: 38 ページ: 325~345

    • DOI

      10.11218/ojjams.38.325

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Network analysis of scientific advisory committee integration in climate change policy: A comparison of Germany and Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Nagel Melanie, Satoh Keiichi, Henry Adam Douglas
    • 雑誌名

      PLOS Climate

      巻: 2 ページ: -

    • DOI

      10.1371/journal.pclm.0000222

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 政治的機会構造と利益団体ネットワーク形成の様態:気候変動政策ネットワークの国際比較研究から2024

    • 著者名/発表者名
      佐藤圭一
    • 学会等名
      第76回数理社会学会大会
  • [学会発表] 社会ネットワークの特性と権力配分問題ーーエージェント・ベースド・モデリングによる検討2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤圭一
    • 学会等名
      第96回日本社会学会大会
  • [図書] Theories of the policy process2023

    • 著者名/発表者名
      Daniel Nohrstedt, Karin Ingold, Christopher M. Weible, Elizabeth A. Koebele, Kristin L. Olofsson, Keiichi Satoh, Hank C. Jenkins-Smith
    • 総ページ数
      387
    • 出版者
      Routledge

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公開日: 2024-12-25  

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