研究課題/領域番号 |
21K13448
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
加藤 丈太郎 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究センター), 助教 (80897596)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | COVID-19 / 移民 / 国際移動 / ベトナム / 技能実習 / 特定技能 / レジリエンス |
研究実績の概要 |
国際移動はCOVID-19によって中断を余儀なくされた。移民が移民の受け入れ国から出身国に帰国をしたくとも帰国出来ない状況が現に存在した。一方、日本ではCOVID-19後も人口減少と労働力不足が続くと予測されている。日本政府はCOVID-19下でも徐々に国際移動を再開させている。このようにCOVID-19下でも国際移動を持続可能とする方策の検討は喫緊の課題である。本研究は日越間の国際移動に着目し、COVID-19後の持続可能な国際移動のあり方を考えるものである。 3年間の本研究プロジェクトにおける、初年度となる2021年度には、「COVID19が元々脆弱な状態にあった移民にいかなる影響を及ぼしたか」という問いに、非正規移民5名(元を含む)、技能実習生(含特定技能人材)11名、留学生2名、監理団体8名、雇用主3名、送り出し機関4名、計33名にインタビューを行う中から回答することを目指した。 COVID-19感染者数が変動する中で、出入国をめぐる規制は混乱し、送り出し機関、監理団体は多大な影響を受けていた。技能実習生、特定技能人材は当初の計画を変更し、日本に長く留まることとなった。雇用主は新規の受け入れが難しい中、既存の技能実習生を特定技能人材にするなど柔軟に対応することで労働力を確保していた。ベトナム人コミュニティにおいてはコロナ禍を克服するレジリエンスの構築が見られた。しかし、COVID-19は日越間の「移住インフラ」に相当の影響を及ぼし、国際移動の再開にあたっては複数の課題が生じることが想起される。2年目となる2022年度にも引き続きフォローアップを行い、考察を深めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東京都では2021年度中は、年度を通じてほぼ緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が出ている状態にあった。インタビュー調査は当初困難に直面した。オンラインでの調査がなじまない、非正規移民(10名目標、5名達成)、雇用主(5名目標、3名達成)へのインタビューは件数が目標に未達となった。非正規移民については対象を変え、雇用主については2022年度に調査を行うことで、今後カバーしていく。 オンラインを活用することで、調査件数は目標の30件に対し、33件と目標を上回ることができた。2022年度に実施予定の送り出し機関にもオンラインで前倒しでインタビューを実現した。 2021年度中に関連する研究成果として、2本の論文(いずれも共著、英語、1本は査読付)掲載、2冊の書籍の出版(共編著、単著)、5件(うち2件は国際学会)の学会発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度にベトナムでの調査を計画していた。コロナ禍が完全には収束していない状況を鑑み、ベトナムでの調査は2023年度(研究開始時から予備年度として設定)に行うことを目指す。 2022年度は、2021年度に十分に調査ができなかった、移民の雇用主を現場に訪問してのインタビューに注力する。また、当初は2023年度に予定していた市民団体への調査を2022年度に前倒しし、インタビューを実現したい。 技能実習生、特定技能人材をめぐる状況は刻々と変化している。フォローアップを行う。さらに、技術・人文知識・国際業務の在留資格で働くエンジニアが増えている。彼/彼女らも新たにインタビュー対象者に加え、コロナ禍における国際移動のあり方を注視していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による緊急事態宣言、まん延防止重点措置により、インタビュー調査、学会発表等、ほぼ全てがオンラインでの対応となった。よって、旅費等、当初の計画どおりには使わない状況が生じた。 2022年度は、2021年度に十分できなかった国内出張(調査、学会)に、2023年度は海外出張(ベトナム調査、国際学会)に費用を使っていく予定である。
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