研究課題/領域番号 |
21K13454
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
三谷 はるよ 龍谷大学, 社会学部, 准教授 (60733326)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 子ども期の逆境体験(ACE) / 虐待・ネグレクト / 世代間連鎖 / 量的調査 |
研究実績の概要 |
本研究課題(若手研究)の目的は、子ども期の逆境体験(Adverse Childhood Experiences: ACE)の世代間連鎖を生じさせる媒介プロセスを明らかにすることである。子ども期の逆境体験とは、18歳までに経験された虐待・ネグレクトや、親の離婚・DV・依存症といった家庭内の問題のことである。 令和3年度は本研究課題の1年目として、取得可能な2次データの分析および論文執筆に取り組んだ。その結果、論文“Effects of maternal adverse child experiences on parental maltreatment of children: An empirical study of mediating factors among Japanese mothers”が、国際誌Child & Family Social Workに掲載された。この論文では、高知県下のすべての小1・小5・中2・高2の保護者を対象に行われた2016年「高知県子どもの生活実態調査」(有効回収数14,539票)によるデータによって、母親自身のACEスコアとその子に対する身体的・心理的虐待およびネグレクトの発生率に明らかな関連があることを見いだした。 本論文の意義は、国際的に進展しているACE研究に対して日本での逆境連鎖の実態を実証し、さらに逆境連鎖の主要な媒介要因が母親の心理的ディストレスと低SES(社会経済的地位)であることを報告している点である。保健所等による母親のメンタルヘルス評価と介入の必要性に関する指摘は、政策的示唆として重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りデータ分析・論文執筆を行い、論文が国際誌に掲載されたため。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に全国郵送調査を実施する。2020年に行った全国WEB調査のデータ分析に基づいて新規調査票の調整を行い、調査会社が保有する郵送トラストパネル・サンプル(モニター)を利用してデータ回収を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額(96,985円)は、当初想定していた事前調査(生活史調査)にかかる費用予算と費用実額の差額である。これは、次年度において全国調査の費用として使用される。
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