研究課題/領域番号 |
21K13454
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
三谷 はるよ 龍谷大学, 社会学部, 准教授 (60733326)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 子ども期の逆境体験(ACE) / 虐待・ネグレクト / 世代間連鎖 / 量的調査 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、子ども期の逆境体験(Adverse Childhood Experiences: ACE)の世代間連鎖を生じさせる媒介プロセスを明らかにすることである。子ども期の逆境体験とは、18歳になるまでに経験された虐待・ネグレクトや、家庭の機能不全(家族の依存症、精神疾患、DV等)のことをいう。 令和4年度は本研究課題の2年目として、主に①全国WEB調査データの分析・成果公表、および②全国郵送調査の準備・実施を進めた。 2021年に実施されたACEに関する全国WEB調査のデータの分析を進め、その結果を単著『ACEサバイバー:子ども期の逆境に苦しむ人々』(ちくま新書、2023年5月刊行)にまとめた(①)。ここでは、ACEが、成人後の心身の疾患、失業や貧困、社会的孤立や子育ての困難に至るまで、長期的に悪影響をもたらすことを実証的に示している。本書は、日本でのACEの長期的影響に関するエビデンスを一般向けに公表する日本語で書かれた初めての書籍であり、ACEの社会的啓発に資するものである。 また並行して、本研究課題の中核的位置づけにある全国郵送調査を企画・設計し、2023年1月に実査を行った(②)。上記全国WEB調査の分析結果に基づいて内容を調整された調査票を用いて、調査会社が保有する郵送トラストパネル・サンプル(モニター)を対象に、ACEの世代間連鎖を検証できる調査を実施することができた。今後は、この全国調査データの分析・成果公表に取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りデータ分析に基づく単著執筆が進み、全国郵送調査も実施できたため。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、全国郵送調査から得たデータの分析と、その結果に関する成果公表(論文執筆・学会発表)を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額(352,565円)は、当初想定していた調査費用予算と実額の差額である。これは、次年度において研究成果報告の費用として使用される。
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