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2023 年度 実施状況報告書

当事者の経験が反抑圧ソーシャルワークの推進に与える示唆:在日朝鮮人女性を例として

研究課題

研究課題/領域番号 21K13462
研究機関明治学院大学

研究代表者

宮崎 理  明治学院大学, 社会学部, 准教授 (50770020)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードソーシャルワーク / 抑圧 / 抵抗 / 在日朝鮮人女性 / フェミニズム / 植民地主義
研究実績の概要

2023年度は、研究成果の公表に向けて、「インターセクショナリティ(交差性)」と「サバルタン」を鍵概念として、在日朝鮮人女性の抑圧と抵抗の現実およびソーシャルワークの課題について論文を執筆した。‘Feminist Social Work Responses to Intersectional Oppression Faced by Ethnic Minority Women in Japan’と題したこの論文は、“The Routledge International Handbook of Feminisms in Social Work”に収録され2024年6月に刊行予定であり、本研究の成果の一端を国際的なソーシャルワーク論の文脈に位置付けることができた。
また、在日朝鮮人女性がおかれた歴史的・社会的文脈をより深く把握するため大韓民国に渡航し、「戦争と女性の人権博物館」「ナヌムの家」等で調査・資料収集を行なった。「日本軍性奴隷制(いわゆる“慰安婦”)」問題に関する社会運動には多くの在日朝鮮人女性が主体的に参加している。その運動は国家の枠組みを超えて広がり、女性たちの連帯が形成され、運動に参加している女性たちのエンパワーに繋がっていることを把握することができた。
さらに、在日朝鮮人の抑圧の歴史と抵抗の現実を複数の視点から把握するために、学際的に多様な研究者を招き研究会を継続的に実施した。構造的な抑圧を認識し、当事者を抵抗の主体として捉える視座を構築するための示唆を得るとともに、研究者間のネットワークを構築することができた。
なお、研究を進める中で、抑圧と抵抗を時間や空間を超えた集団的なものとして把握する視座として、歴史的トラウマ、文化的トラウマの先行研究をレビューした。この視座は本研究に重要な示唆を与えるのみならず、今後の研究の展開の方向性を検討するうえで重要な知見となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

パンデミック間に途絶えてしまった調査対象者との交流を再開し、調査計画を再考するのに時間を要してしまった。
また、2022年に引き続き2023年度も研究代表者がcovid-19に罹患し、体調不良が続いた。

今後の研究の推進方策

これまで進めてきた理論研究を基盤として、在日朝鮮人女性へのインタビュー調査、国外の先進地でのフィールドワークとインタビュー調査を実施する。
そのうえで、研究最終年度にあたり研究成果を整理し公表に向けて論文の執筆と学会報告を行う。

次年度使用額が生じた理由

パンデミック間に調査対象者との交流が途絶え調査計画の再考に時間を要し、国内外での調査が実施できず未執行の予算が生じた。次年度は未実施の調査実施と研究最終年度における研究成果公表のための論文執筆、学会報告、イベント実施のために使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「線引き」を問い直すための理論と方法2024

    • 著者名/発表者名
      宮﨑理
    • 雑誌名

      社会福祉研究

      巻: 149 ページ: 78-84

  • [学会発表] ソーシャルワークにおける「抑圧」概念の再考:文化的トラウマと集団的アイデンディティをめぐる議論を手がかりにして2023

    • 著者名/発表者名
      宮﨑理
    • 学会等名
      日本ソーシャルワーク学会第40回大会
  • [図書] The Routledge International Handbook of Feminisms in Social Work2024

    • 著者名/発表者名
      Osamu Miyazaki
    • 総ページ数
      642
    • 出版者
      Routledge
    • ISBN
      9781032327600

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公開日: 2024-12-25  

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