1.最終年度として以下の研究課題を実施した。 介入研究:ろう・難聴者に関わるソーシャルワーカーを対象とした、ろう者学に関するワークショップを実施した。また、参加者に、ワークショップの効果や展開方法、受講意義などについて、グループインタビューを実施した。その結果、1)ワークショップの共通言語を明確化すること(手話通訳なしで、手話で直接議論できる)、2)参加者自身がろう者と協働した経験があること、3)ろう者学の理論を応用するために、具体的な事例検討があること、の3点がカリキュラム開発にあたって重要な点であることがわかった。ろう者学の視点を現場で活用する効果として、1)ろう者学の理論によって自己省察ができたこと、2)ろう者のクライエントの視点が理解できた、3)抑圧の意味について知ることができた、4)ろう当事者のソーシャルワーカーの意義を理解できた、5)ろう者を取り巻く社会福祉制度やシステムの弊害についてマクロの視点から理解できた、の5点が挙げられた。
2.研究期間全体を通じて 本研究課題は、ろう文化ソーシャルワークの専門性を担保したソーシャルワーカーや心理専門職を養成するためのカリキュラム、教材を開発・検証することである。新型コロナウィルス感染拡大により、実施できなかった調査もあるためが、最終的にはソーシャルワーカー向けのろう者学の入門講座のカリキュラム概要の検証ができた。今後も研究を継続していくことで、カリキュラムの質的妥当性などについて検証する予定である。
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