研究課題/領域番号 |
21K13470
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小田巻 友子 立命館大学, 経済学部, 准教授 (20806442)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 保育の質 / 親の参加 / 地域社会の関与 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、保育サービス生産への親の参加の影響を分析し、日本における親の参加の実態と参加が阻まれている社会経済的要因を究明することである。 令和3年度は、第一に、親の参加と保育の質に関する先行研究の整理を行った。OECD(2006,2012,2015)では、保育サービス生産への親の参加は、保育者との日常的な対話から、保護者会への参加、運営への参加、学習指導要領の作成、施設評価への参加と多様なレベルで観察されることが指摘されている。一方で、保育の質についてどのような指標データを用いるべきかについての合意形成が利害関係者の間でなされていないことも露わになった。また、近年では、親の参加と並列する形で地域社会の関与が強調されている。既に日本をはじめとした複数の国において、親とサービスをつなぎネットワークを形成する役割を果たすものとして地域社会の関与が推進され始めている。したがって、保育の質をどのように規定するのか、親の参加と地域社会の関与の相互作用にも着目しながら、保育の質への影響を論じることが次年度の課題である。 第二に、保育サービス生産への親の参加が色濃くみられるスウェーデンの親協同組合就学前学校を利用する親を対象とした既存データをもとに分析を進めた。分析からは、日常的な親の参加が意思決定の場における関係当事者の合意形成を容易にさせ(仮説1)、親の参加が親と保育者双方の発言力を高める(仮説2)という仮説が導き出された。そこで、日本の保育所の運営委員会を親が意思決定過程に参加できる場であると捉え、研究対象者を「親が参画する運営委員会を有する保育所を現在利用しており、保育所の運営委員会に出席した経験のある親」と限定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は「満18歳以上で、親が参画する運営委員会を有する保育所を現在利用しており、保育所の運営委員会に出席した経験のある親」を対象にインタビュー調査を予定していたものの、まん延防止等重点措置の発令によりインタビュー実施が困難となったため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、調査対象の保育所と連携をとりながら、対象者へのインタビューを実施する。また、今後もまん延防止等重点措置の発令等が予想されるため、状況に応じてオンラインインタビューへの切り替えも検討する。調査実施後、得られたデータをもとに、質的データ分析ソフトウエアを用い、事例-コードマトリックスを作成し、仮説の検証と理論モデルを構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
まん延防止等重点装置の発令により、令和3年度に予定していたインタビュー調査を実施することができなかったため、次年度使用額が生じた。繰り越された助成金については、次年度のインタビュー調査のために使用する。
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