研究課題/領域番号 |
21K13476
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
面高 有作 九州大学, キャンパスライフ・健康支援センター, 准教授 (80749474)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 発達障害学生 / 大学 / セルフアドボカシー / 低単位取得 / 新型コロナウイルス / 生活機能 / 主観的適応感 |
研究実績の概要 |
本研究は、高等教育機関に在籍する障害学生の中でも増加が著しい発達障害学生を対象に、支援場面・支援機関ごとに分断されてしまう支援の一貫性を確保し、修学から社会移行までの支援を学内外の支援機関が有機的に連携する重層的な支援モデルの提案を目的とする。 2021年度は研究Ⅰ:「教育組織と連携した低単位取得の状態にある発達障害学生への支援の効果と意義の検討」のための当事者ヒアリング調査及びアンケート調査を実施し、研究Ⅱ:「発達障害者のセルフアドボカシー(SA)構造の解明」に向けた文献調査及び当事者ヒアリング調査を行った。 研究Ⅰ:コロナ禍による修学環境の大幅な変化が低単位取得にどのような影響を及ぼしているのかについて、コロナ禍以前(~2020年度)とコロナ禍(2021年度)における大学全体での低単位取得者数の変化について検討した。また、低単位取得者一人ひとりに「生活」「対人関係」「修学」の3つの観点からヒアリングを実施した。さらに、2022年度の計画を前倒しして、支援を必要とする大学生の生活機能と主観的適応感についてアンケートを実施した。その結果、一時的に低単位取得の学生が増加したものの、その後例年通りに回復したことが明らかになった。また、対人関係が構築しづらく周りから情報を得難いため問題への対処が遅くなってしまうこと、「修学」についてのみ本人評価と専門家評価に乖離があることが明らかになった。アンケート調査の結果からは、発達障害に精神障害が加わることにより生活機能が低下すること、主観的適応感に影響を及ぼすものとして心理的要因が大きな役割を果たしていることが示唆された。 研究Ⅱ:文献調査より国内だけでなく海外における研究動向を整理することができた。また、当事者へのヒアリングからコミュニケーション能力と自尊感情の重要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画に先行して生活機能と主観的適応感のアンケートを実施できたことに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大下における修学環境の変化が低単位取得にどのような影響を及ぼしているのかについて低単位取得学生にヒアリングし整理したことは、研究の進展だけでなく、実際の支援に資する知見を得ることにつながり意義があったと考える。セルフアドボカシー構造の解明については、当事者ヒアリングを終えており、予定どおりの進捗にあると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究Ⅰ:アンケート調査の結果解析を進め、プログラム開発に資する知見をまとめていく。 研究Ⅱ:セルフアドボカシーの構造について、シナリオ作成し調査を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、出張を取り止め、オンラインでの実施・学会参加が中心であったため当初の予定を変更して執行した。2022年度からは対面でのヒアリング調査、旅費(国内外の学会・研修会参加の旅費および参加費、調査・情報収集の旅費)として使用予定。
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