研究課題/領域番号 |
21K13480
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研究機関 | 流通経済大学 |
研究代表者 |
下司 優里 流通経済大学, 社会学部, 准教授 (40615738)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 知的障害 / インクルージョン / 共生社会 / 教育・福祉横断的支援モデル / カナダ / 特別支援学校 |
研究実績の概要 |
2023年度は現地カナダでの在外研究が可能となった。そこで、前2年度でできなかった以下の研究作業を行った。 (1)資料の収集、読解と分析:先行研究をもとに発見された資料のほか、知的障害問題に関する団体、研究機関および行政機関等の史資料をトロント市とオタワ市で所蔵調査および資料収集した。また、必要に応じて、トロントで関係分野の大学教授から研究に関する情報提供と助言を得た。 (2)現地視察:カナダにおけるインクルーシブ教育の現状を調査するため、オンタリオ州立特別支援学校3校およびインクルーシブ教育を行うトロント市公立学校1校を訪問し、校長およびリソースセンター責任者との面談を行なった。 (3)研究考察と妥当性の検討:考察の妥当性については、北米および北欧の当研究分野の研究者とのディスカッション等を通して検討した(北欧障害学会、米国知的・発達障害学会、カナダ社会学会等)。 その結果、同州の障害児教育の現状として、以下の点が指摘できる。①インクルーシブ教育を掲げているものの、視覚障害と聴覚障害については専門的な教育(の場)も残している、②同州独自の取り組みとして、学習障害(読み障害)の児童生徒のための州立特別支援学校3校を設置している、③軽度の聴覚障害と知的障害については地域の通常学校(特別支援学級)での受入れ体制を充実させている、④公用語は英語とフランス語であるが、フランス語での特別な教育的支援を受ける児童生徒の教育は、オタワ市にある「特別支援教育センター」が担っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度と22年度はCOVID-19の影響により、本研究の基礎的作業として予定していた、現地カナダでの資料収集ができなかった。しかし2023年度はCOVID-19の影響が落ち着き、また勤務先の在外研究制度を利用し、1年間、現地カナダでの研究調査活動を行うことができた。それにより、2年間の遅れを取り戻すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度と25年度は、不足資料の収集を行うとともに、資料の読解・分析から得られた考察の妥当性の検証と研究成果の発表を行う。具体的には、以下の通りである。 (1)資料の収集:研究対象時期の公立学校ならびに社会福祉施設の実態を把握するための系統的資料と、知的障害問題に関する中心的人物の著書・論文等を収集する。 (2)資料の読解・分析:資料の分析を通して、カナダにおいて知的障害者に対していかなる論説と処遇実態があったのかについて究明する。必要に応じて、日本ないし北米で関係分野の大学教授に研究に関する情報提供と助言を得る。 (3)研究考察と妥当性の検討:考察の妥当性については、日本および北米の当研究分野の研究者とのディスカッション等を通して検討する(国際知的・発達障害学会、カナダ教育学会、障害科学会等)。 (4)研究成果の発表:これまでの研究成果については日本(日本特殊教育学会、日本社会福祉学会等)および海外(国際知的・発達障害学会)において学会発表を行い、関係研究者の意見を求めるとともに、積極的に学会誌への論文投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:現地海外での研究が可能となったため、郵送・通信費が削減できた。そのため、予定していたよりも使用額が削減できた。 使用計画:次年度以降の郵送・通信費、ないし研究作業をより効果的に進めるための物品費として使用する。
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