研究課題/領域番号 |
21K13503
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
町田 大輔 群馬大学, 共同教育学部, 准教授 (10622251)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 健康格差 / 健康の社会決定要因 / 食生活 / 栄養 |
研究実績の概要 |
本研究では,健康格差の中でも特に食生活に焦点をあてて、近年の日本で経済的状況と食生活との関連がどのように推移していったかを検証することを目的とする。具体的には、①2004年~2014年の高齢者における経済的状況と食行動との関連の推移の検証、②2011年~2018年の成人・高齢者における経済的状況と食行動との関連の推移の検証、③2010年~2018年の全世代における経済的状況と食品・栄養摂取量との関連の推移の検証、を実施する予定である。令和3年度は、研究を推進するにあたり必要な、日本人を対象とした経済状況と食生活・栄養との関連の先行研究や政府統計のレビューを中心に行った。結果として、以下の点が明らかになった。①厚生労働省の国民健康・栄養調査の報告をレビューした結果、世帯所得が600万円以上/年のカテゴリと比較して、所得が少ないカテゴリで、不健康な食生活や生活習慣をとっている傾向がみられた。②平成27年度乳幼児栄養調査の結果では、経済的にゆとりがある者で魚、大豆・大豆製品、野菜、果物の摂取頻度が高く、ゆとりのない者で菓子(菓子パン含む)、インスタントラーメンやカップ麺の摂取頻度が高かった。③2000年以降に発行された学術論文42編をレビューした結果、全体としては経済的な状況が良いほど食生活・栄養状態がよい傾向がみられた。全体的な整理をすると、経済状況が良くないことで食費が少なくなり、食費が少なくなると、不健康な食品・栄養素摂取パターンになることが推察される。しかし、中には有意な関連がみられなかった研究や、経済状況が良いほど健康にとって良くない栄養素の摂取量(飽和脂肪酸やナトリウム)が多いことを示した研究も存在した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度は4月と10月の2回所属機関の変更があったことや、令和2年度で終了予定であった研究を令和3年度まで延長して行っていたため、本研究に必要な時間の確保が困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度中に、①2004年~2014年の高齢者における経済的状況と食行動との関連の推移の検証、②2011年~2018年の成人・高齢者における経済的状況と食行動との関連の推移の検証の分析を完了し、③2010年~2018年の全世代における経済的状況と食品・栄養摂取量との関連の推移の検証に必要なデータの申請を行う予定である。令和5年度中に③2010年~2018年の全世代における経済的状況と食品・栄養摂取量との関連の推移の検証の分析を完了する予定である。分析の結果は、適宜論文や学会発表により公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が遅れているため。次年度繰り越し分はR4年度で執行予定である。
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