研究課題/領域番号 |
21K13506
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
鎌田 智英実 四国大学, 生活科学部, 准教授 (50389160)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 食事調査法 / 24時間思い出し法 / 高齢者 / フレイル / 栄養管理 |
研究実績の概要 |
2023年11月に自立した生活を送る地域在住高齢者66名(男性13名(80.5±7.4歳)、女性53名(80.1±5.2歳))に、24時間思い出し法を実施し、食事摂取状況を分析した。 推定した1日および朝昼夕別のエネルギー摂取量はそれぞれ1524±366kcal、朝:425±166kcal、昼:454±199kcal、夕:487±186kcalだった。1食の料理数は朝:3.8±1.4品、昼:3.6±1.7品、夜:3.2±1.6品であり、朝昼夕別のエネルギー量と料理数には差がなく、1食あたりの食事量は変動が少ないと考えられた。一方、食事バランスガイドの料理区分では、朝食は牛乳・乳製品、昼食は主食、夕食は主菜・副菜の摂取量が多く、食品群では、朝食は果物類と乳類、昼食と夕食は肉類と魚類、夕食は野菜類の摂取量が有意に多かった(p<0.05)。使用されている食品数(調味料を除く)は朝:7.0±3.7品目、昼:7.5±4.2品目、夕:8.6±4.3品目と夕食が多かった。対象者全体でみられた料理の種類は主菜37種、主食29種、副菜63種であり、使用されている食品数は多い食品群から野菜類45種、魚介類36種、穀類20種だった。 高齢者の回答が困難である料理区分は、副菜(40.9%)と主菜(33.3%)をあげた者の割合が高く、栄養計算にあたり追記が必要な食品群は調味料類(92.4%)、油脂類(33.3%)の割合が高かった。調味料は、サラダにかけるドレッシング、コーヒー等に加える砂糖等の使用を別に確認することで聞き漏らしを防ぎ、回答精度の向上もできると考えられる。 高齢者の食事内容の特徴として主食抜き等の食事内容に偏りがみられる者が33.3%、1日に同じ料理を複数回食べている者が18.8%あり、これらの特徴を調査票に反映させることで調査への回答のしやすさや調査票の精度向上に貢献できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始当初に新型コロナウイルス感染症が蔓延していたため、被験者および調査者双方の安全確保の面から調査実施時期の延期や調査内容の変更を余儀なくされた。特に口腔機能の測定や身体測定等は実施が困難であり、調査時に新型コロナウイルス感染症への懸念から一部の調査項目について実施を拒否する被験者もいたため、実施内容や実施項目を変更せざるを得なかった。また、今年度の調査では、これまで調査を実施していた集会の実施形態に変更があり、調査時間に制限が生じたため、調査項目を制限せざるを得なかった。今年度は、概ね当初予定していた実施内容の調査が実施できる状況であるが、開始時からの実施の遅れにより、進捗がやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度はこれまでの食事調査(食物摂取頻度調査および24時間思い出し法)の結果を分析し、料理の一覧とその料理を構成する食品と1回あたりの食事量を決定し、簡易食事調査法 (QRC) の調査票を作成する。 さらにQRCの調査票作成に必要な情報として、65歳以上の高齢者に対し食習慣およびフレイル・オーラルフレイルと咀嚼力についての調査を行うとともに回答しやすい調査票とするためのアンケートを実施し、QRCを完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の調査は、これまで調査を実施していた集会の実施形態に変更があり、調査時間に制限が生じたため、調査項目が限られたことから調査対象者への謝礼および調査実施のために必要な消耗品等の購入が当初の予定よりも少なくなった。また、データ分析のための統計ソフトおよびパソコンの購入を予定していたが、最新版の購入のため今年度の購入を見送った。 令和6年度は、昨年度購入予定であった統計ソフトおよびパソコンの購入を予定している。また、今年度は昨年よりも調査の規模が拡大できる予定であり、調査実施のための消耗品、調査対象者への謝礼、調査補助およびデータ集計のための人件費への支出を予定している。
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