研究実績の概要 |
被験者は、女子大生15名とし試験を実施した。E社温州ミカンジュースの同一ロット品を入手し、ジュースの測定値に合わせて、果糖、ブドウ糖、ショ糖、クエン酸およびアスコルビン酸で糖酸比を調製した水(調製水)、対照として水(精製水)を用いた。 対象者は、座位安静5分間(安静期)後、試料を飲用し(飲用期)、精神的ストレス負荷として内田クレペリン検査を15分間実施(ストレス負荷期)し、その後5分間座位安静(回復期)にした。試料呈示は試料190 mLを蓋付褐色容器に入れ、ストローで2分以内に飲用とした。検査項目:主観的指標としてvisual analogue scale (VAS, 測定項目:集中力、疲れ、リラックスおよび気分)を用いた。生理学的指標として、脳波および心拍変動の測定、生化学的指標として、唾液α-アミラーゼ活性を測定した。解析方法:各測定区間のデータの平均値から安静期を1とした時の相対値を算出し、SPSS ver.27.0の一元配置分散分析で解析した。 回復期のα1波では、ジュース群が調製水群と比較して高い傾向(p<0.10)を示し、リラックス傾向があると考えられた。飲用期のVASの気分の項目では、ジュース群が対照群および調製水群と比較して有意に高く(p<0.05)、ジュース飲用時に主観的に気分が良くなることが示された。主観的指標および生理学的指標の一部の項目で、ジュース群においてリラックス傾向が認められたのは、糖と酸以外の香気成分およびその他の成分によるものと考えられた。
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