研究課題
最終年度においては、下記に示す結果を得た。・主成分の定量的解析:前年度に同定した各ケモタイプの主成分について、HPLCを用いて定量を行った。その際、分析対象とするすべてのテルペノイドを短時間で高分離可能な分析条件を確立した。国内で流通するフキノトウ5品種について分析を行った結果、各テルペノイドは乾燥重量あたり0.1から0.5%(w/w)程度含まれていることがわかった。・主成分が持つ機能性の解明:RBL-2H3細胞を用いた脱顆粒アッセイにより、抗アレルギー活性を評価した。複数の主成分に脱顆粒抑制活性が確認された。また、エネルギー代謝に関わるAMPKの活性化作用を脂肪細胞を用いて評価した結果、調べた主成分の中でpetasinのみに活性が示された。・ポリフェノールとアルカロイドの定量:当初の計画では、総ポリフェノールの定量を行うこととしていたが、主たるポリフェノールとして報告のあるクロロゲン酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、ルチン、フキノール酸の標品を用いて、LC-MSによる各成分の精密定量を行った。前年度の解析により、総ポリフェノールは品種間での有意な差が見られなかったが、個別のポリフェノール化合物には品種間で明確な差があることが判明した。また、各個体の総ポリフェノール含量と総アルカロイド含量には相関が無いことも明らかとなった。以上、2年間の本課題で得られた結果から、テルペノイド、ポリフェノール、アルカロイドを中心に、個体間の質的・量的な成分の差異について明らかにするとともに、それらの成分による健康機能性も複数提示することができた。今後、本成果を活用することで、優れた成分特性を併せ持つ優良系統の開発にも貢献すると期待される。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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