研究課題/領域番号 |
21K13515
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
清水 良彦 大分大学, 教育学部, 准教授 (60735140)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 放課後学習支援事業 / 居場所づくり / 包摂 / アクション・リサーチ |
研究実績の概要 |
本研究は、学習支援事業・居場所づくり事業の先進事例調査と試行的事業実施・効果検証を通して事業の持続可能性・効果を高める要因を析出し、包括的ネットワークの形成やICT環境を活用した教育プログラムの開発を行うことで、モデル構築することが目的である。 今年度は、試行的事業として大分市稙田地区において学習支援事業・居場所づくり事業「きたく部」を実施した。事業内容は以下の4つである。(1)放課後学習支援・居場所づくり活動「きたく部」(年間89回開催・参加者延べ652名)、(2)文化・スポーツ体験活動「きたく部○○の日」(年間31回開催・参加者数は(1)に含む)、(3)未就学児・小・中学生向けおもちゃ図書館事業「きたく部おもちゃ図書館」(年間89階開催・参加者数は(1)に含む)、(4)0歳~2,3歳の未就園児向けおもちゃ図書館事業「きたく部おもちゃ図書館つどい」(年間14回・参加者延べ145名)の4つの事業を実施した。事業内容(1)~(3)については、大学生ボランティア(延べ133名)、高校生ボランティア(延べ119名)、地域ボランティア(延べ41名)が協働して運営した。 効果検証として、2022年1月に高校生ボランティアを対象とした事後アンケートを実施した。高校生37名(1年10名・2年4名・3年23名)が回答した。学習支援ボランティアの満足度としては「満足」(35.1%)、「とても満足」(64.9%」と肯定的な意見であった。また、子どもへの貢献度としては「どちらともいえない」(21.6%)、「役に立てた」(64.9%)、「とても役に立てた」(13.5%)という割合となった。令和4年度以降、自由記述の回答も含む量的・質的分析をまとめ、研究成果としてまとめていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
〈研究1〉児童生徒を対象とした学習支援事業・居場所づくり事業の先進的事例の調査・分析として、令和3年度は大分県内における事例調査に基づき学習支援事業持続のための要因を抽出することを目標としていたが、感染症拡大の影響もあり当初の予定通りにフィールドワーク・インタビュー調査を行うことができなかった。 しかし、〈研究2〉持続可能な学習支援・居場所づくり事業の普及に向けたモデル構築については、令和3年度に合計103回の活動を実施するとともに、新規に0歳~2,3歳の未就園児を対象とした「きたく部おもちゃ図書館つどい」を開始させることで、親子を対象とした子育て支援事業を拡大することができた。効果検証については、高校生ボランティアを対象としたアンケート調査を実施することができ、令和4年度以降に研究成果をまとめることができる見通しである。 以上のように〈研究1〉については当初の予定どおりには進展しなかったものの、〈研究2〉については順調に進展しているため、「おおむね順調に進展している」と進捗状況を評価した。
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今後の研究の推進方策 |
〈研究1〉について、大分県内における事例調査を進めつつ、感染症の状況も踏まえながら全国の学習支援・居場所づくり事業の先進事例調査へと発展させる。事例調査の成果を事業の計画・実施・改善に還元し、教育プログラム開発につなげる。研究の推進のため、今後も社会福祉協議会や学校・公民館等の関係機関に調査協力者との仲介を依頼し、事例調査につなげていきたい。 また、〈研究2〉については、継続して試行的事業「きたく部」を実施していく。活動回数としては全体で合計120回程度を予定している。事業内容については、研究実績の概要に示した(1)~(4)を主とする。特に事業内容(2)「きたく部○○の日」のなかでレクレーション等の内容を検討し、より効果的な内容としたい。さらに、高校生ボランティアのアンケート調査を実施し継続的な効果検証(3年間)を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
大分県内における事例調査を実施することができなかったため、旅費の支出がなかった。また、アンケート調査等のデータ入力については件数が少なかったこともあり人件費・謝金として支出しなかった。実施できなかった事例調査については令和4年度に実施するため、次年度使用額として適切に使用していく予定である。
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