研究課題/領域番号 |
21K13517
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
李 雪 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教 (80878827)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教育戦略 / 在日外国人 / 言語学習 |
研究実績の概要 |
本研究は高度外国人材を積極的に受け入れる政策実施の背景において、情報化社会の進行中、特にポストコロナ時代に加速されたオンライン授業の普及により、在日中国人ニューカマーは目指している教育目的、およびそれを達成するために展開している教育戦略を探求することである。2021年度の主な研究実績は以下である。 【研究1】本研究は在日外国人保護者の教育戦略を把握するために、25名の国立・私立学校を志向する保護者にインタビュー調査を行った。国立・私立小学校と中学校への入学動機について、①将来進路のためインターナショナルスクールの入学志向;②母国文化を知り、継承語を学ぶため民族学校の入学志向;③進学や受験に有利のため、私立学校に入学の入学志向;④教育改革に関心を持つため国立小学校に入学の入学志向、が明らかになった。在日外国人親は子どもの教育に関する選択は多様化になり、教育に対する期待も高まっていくことがわかった。 【研究2】本研究は在日中国人家庭における言語意識及び言語学習の実態を明らかにした。インタビューした6家庭は、子どもの言語学習に関して、それぞれの教育理念を反映していた。①日本語学習については、多くの在日中国人家庭は、日本社会に溶け込み、日本社会を理解するため、日本語学習をしている。②中国語学習では、海外における中国人が子供たちに中国人としてのアイデンティティを維持させたいと考えている。一方で、子どもたちが中国語をマスターしたほうが、将来の教育に役立つという功利的な考えも見られる。③英語学習に関して、子どもの多元化な考え方の育成も重要視している。本研究では、在日中国人家庭では、子どもへの語学教育に対する考え方は多様化し、学習スタイルも対面学習からより柔軟なオンライン学習へと変化していることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年はおおむね順調に研究が進んだといえよう。 (1)質的調査:未就学児、学校、中学校を含む30以上の家庭でインタビューを行った。在日外国人家族の家族戦略を理解する上で重要なテータを得ることができた。国立・私立小中学校の入学動機、および言語意識と言語学習実態を取り上げ、論文を発表した。 (2)文献調査:在日中国人の教育戦略を歴史的な検討に関連する先行研究をレビューし、論文化に取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)文献研究:家庭教育戦略に関わる基礎的な文献を収集し研究を行う。そのため、家庭教育戦略に関わる理論的文献の他、欧米、東アジアおける華人の家庭教育関連書籍、教育概況、統計資料などを購入する。在日中国人の教育戦略を歴史的な検討することに目指す。 (2)国内調査:新型コロナウイルスの影響のため、対面によるインタビューが難しいことが予想される。その場合には、郵送による質問表調査を実施する。また、電話でのインタビューも行う。 (3)インタビューを引き続き行い、さらにアンケート調査に着手します。分析において、質的データと量的データを組み合わせる混合研究法を用いる。 (4)当初の研究計画の通り、データの分析と結果の発信。学会での発表をし、研究成果の論文化に注力する。国内外での学会で報告し、研究成果を発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、新型コロナウイルスの広がりに伴い予定通りの調査と海外における発表がキャンセルされたことである。そのため、2022年度の主な経費の使用計画は以下の通りである。 (1)文献研究:家庭教育戦略に関わる基礎的な文献を収集し研究を行う。そのため、家庭教育戦略に関わる理論的文献の他、欧米、東アジアおける華人の家庭教育関連書籍教育統計、理論書などを購入する。(2)海外調査:10月に北京、上海、広東の大学を訪問予定である。資料収集と質的調査を実施する。ただし、中国への訪問自体が難しいことも予想される。その場合には、現地の知人に委託して必要となる資料を収集してもらい、オンラインのインタビューを実施する。(3)国内調査:新型コロナウイルスの影響のため、インタビューが難しい場合には、郵送による質問表調査に力を入れる。また、電話やWechat、LINE、Eメールを使ってのインタビューも試みる。
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