研究実績の概要 |
本研究では日本の芸術活動の教育的な効果に注目し、特に、幼年期におけるダンスなどのパフォーミングアーツの経験が非認知能力を涵養するという教育効果を持つことを定量的に明らかにする。近年、教育分野では非認知能力が注目を浴びている。また、ダンスの義務教育化やアプリの普及などによりパフォーミングアーツの影響が一層取り上げられるようになっている。 しかしながら両者の関係を議論した研究は少なく、特にパフォーミングアーツの経験の有無で統計的に有意な差を検証した研究はまだ十分にない。そこで、本研究では独自の調査によってパネルデータを構築し、学校外でのパフォーミングアーツ経験に応じた差分の差分法を用いた定量評価を行う。STEAMM (Science, Technology, Engineering, Arts, Math, and Medicine)に関する議論において芸術が他の学力の育成に貢献することが指摘されるなど芸術の役割が見直されていることに注目し、教育における芸術の位置づけを再考するための基礎的知見を提供する。 今年度の調査研究としては、2つのアンケート調査データを用いて、分析のためのデータセットを構築した。まず別の研究チームで行っている児童の経年調査を個人ごとに年度で紐づけるパネルデータの構築を行った。さらに、自身で調査票を作成しウェブ上でアンケート調査を行い、過去の個人の経験を振り返り現在の非認知能力との関係の把握を試みた。
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