研究実績の概要 |
2023年度実施した内容は主に以下の2点である。 1. 新自由主義改革や社会教育行財政等に関する資料、さらに近年の地方財政の動向やそれをめぐる議論についての資料を収集し、その取りまとめを行なった。また、本年度は国内の学会大会・フォーラムに参加し、研究動向及び関連研究の調査を行った。研究動向調査では、公民館使用料の有料化と関連する公民館の委託や移管、再編に関する議論についての最新知見を得ることができた。 2. 以前から受益者負担論に基づく公民館使用料の見直しや有料化が各地で進められている一方で、コロナ禍を契機として近年、これまで保護者負担となっていた学校給食費の無償化が急速に広がってきた。本研究では、公民館だけではなく図書館や博物館、学校教育を含む幅広い教育全般にわたる、無償性や受益者負担に関する研究蓄積をも手がかりとし、社会教育の無償性を実現するための社会教育財政のあり方を論じることを目的としていることから、急速に広がる学校給食の無償化の背景にある地方財政に関する諸政策(地方創生政策やコロナ政策、子ども政策など)の状況や、教育行財政研究における学校給食費負担に関する議論や学校給食をめぐる権利論についての資料収集・整理も行い、それらを受益者負担論を乗り越えるための検討材料とした。得られた資料を取りまとめた一部は、論文(石山雄貴・石川伸次,2024,「学校給食費の無償化と給食を食べる権利の保障に向けて」,『月刊社会教育』,68(1),17-23.)として発表することができた。
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