研究課題/領域番号 |
21K13525
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
瀬平劉 アントン 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (50754438)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 文脈的行動科学 / プロソーシャル / ナラティヴ研究 |
研究実績の概要 |
2023年度は次のような研究を行いました。 1,自覚教育学について、国際的な学物雑誌で、一本の論文を出版しました。また、学術発表5回(そのうち国際学会は3回)、イベント一件、他の研究発表は7回を行いました。毎年の普段の数を春かに超えて、この科研研究の成果を広めるように努力しました。 2,文脈的行動科学の哲学的背景(プラグマティズム)を探求し、自覚教育の科学と哲学を確認しました。また、その科学における「機能と記述の二分法」を克服し、その自覚の質的研究の道を開きました。 3,プロソーシャルというアプローチを通じて、自覚を個人のレベルのみならず、間柄に広げました。またそれをプラグマティズムと和辻哲郎の哲学で深めました。 4,ナラティヴ実践と京都学派の関係も模索し、京都学派の現実性をより明確にしました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
最初の計画により、2021年度の理論研究に踏まえ、2022年実践研究に入り、2023年度は質的研究で自覚のプロセスを理解しようとするのが目的でした。しかし、計画を超えて、ただ京都学派の研究を応用するだけではなく、高度な心理学の理論の理解もでき、双方の貢献が可能になりました。また、自覚の質的研究だけではなく、そもそもどのような質的研究でそれが観察できるか、方法論的な貢献もできました。その証拠として、高ランクの心理学の学術雑誌『Journal of Contextual Behavioral Science』で、京都学派と文脈的行動科学、文脈行動科学のナラティヴ・アプローチ、2本出版できました。 そして、コロナ禍で実現できなかった国際的なコロキウムは「Kyudai-Ateneo Philosophy and Education Colloquium」の再会により、実現できました。 また、2024年~2025年、京都学派と臨床教育学の原稿を用意する予定でしたが、その目次、またその内容の半分程度、予定より早く準備できましたので、当初の計画以上に進展していると言えます。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画により、2024年度と2025年度は本の原稿の準備に使う予定でした。2024年度、サバティカルを取得することができ、それで集中的に、原稿を準備する時間が確保されています。また、フランスで、国際的な日本哲学の研究者と交流し、この原稿の内容ー自覚の教育学と京都学派ーを広めて、その中のアイデアを深めていきたい。2025年度前半も、サバティカルが続くが、時間が許せば、もう一冊(文脈主義的心理学から教育を再検討する本)の準備を始めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度の学会発表と他の研究発表が非常に多かったため、前倒しを多めにお願いしたところ、年度の後半の出額は幸い別の科研費と他機関の負担で抑えることができ、前倒しを多く使うことが避けられました。そこで、前倒しを申請する前の計画通りで、2024年度は主に、サバティカル中における本研究の課題を完成させ、またそれをフランスで広く交流することで使用する予定です。
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