研究課題/領域番号 |
21K13526
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
山口 香苗 秋田大学, 教育文化学部, 講師 (80843896)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 学校 / 地域 / 学校と地域の連携 / 生涯学習施設 |
研究実績の概要 |
本研究は、台湾における学校と地域の連携の実態を明らかにすることを目的としており、また日本における学校と地域の連携との比較研究を行う素地を作ることを目指すものである。 今年度は、台湾における学校教育と社会教育(生涯学習)施設の関わりについて明らかにした。2019年から台湾で本格施行となった「12年国民基本教育」により、学校教育では「生涯にわたって学ぶ」子どもたちの育成が目指されることとなり、そこで、代表的な生涯学習施設である社区大学が蓄積してきた学びが、学校教育において活用されるようになっている。例えば、社区大学の学習者と講師陣が掘り起こしてきた地域文化や地域知識などを、学校のカリキュラムの中に教材として入れたり、社区大学の講師陣と学校の子どもたちが一緒に地域実践を行い、地域文化や地域課題を調べていく活動が学校教育の正式な教育活動として取り入れられるようになっている。そこでは、地域産業や地域文化、伝統に関するキーパーソンへの聞き取りや、フィールドワークなどを通じて地域課題を子どもたちが知り、それを解決していくような取り組みが行われている。そして、これらの活動によって蓄積された内容を、地域の複数の学校の教師たちが研修によって学び、学校教育カリキュラムの中に取り入れて行っている。 こうした活動からは、学校教育現場で、学校がもつ画一性や均質性を変革し、地域に根ざす学校や「一般」として解消されない人間の育成というような、個別具体的な能力を重視する傾向が強まっているものと見ることができる。今後さらに、学校教育が地域課題解決を重視し、生涯学習施設との関わりを強めている理由を探っていくことが課題として残された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生涯学習施設の実態調査ができたことで、学校教育との関わりがより一層明確になったため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、さらに台湾における学校教育と生涯学習施設の関係性について明らかにしていく予定である。また、日本においても学校と地域の連携が重要視され、コミュニティ・スクールの設置が増加している。その背景と、実際の状況について明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症の拡大により海外への渡航制限がかかっていたため、予定していた回数の実地調査ができなかったため、また学会がオンライン開催となり出張費が必要なくなったため差額が生じた。 差額分は、引き続き先行研究の資料・書籍の収集、消耗品の購入、学会参加、実地調査のための旅費などとして使用する。
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