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2021 年度 実施状況報告書

インドネシアにおける子どもの学びの専門家としてのレッスンスタディとその再文脈化

研究課題

研究課題/領域番号 21K13530
研究機関東京大学

研究代表者

草なぎ 佳奈子  東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 助教 (00777873)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード授業研究 / レッスンスタディ / アクティブ・ラーニング / 学びの専門家 / インドネシア
研究実績の概要

本研究では、教育移転・教育政策の再文脈化に焦点を当て、レッスンスタディ実践をアクティブ・ラーニングを推進する「子どもの学びの専門家」としての視点から検証する。インドネシアでは「教える専門家」を脱却し、「学びの専門家」としての実践が目指されている一方、依然試験対策を中心とした詰め込み型の授業が主流である。本研究では、レッスンスタディの取り組みから、「子どもの学び」観とアクティブ・ラーニングの「主体的・探求的・協働的な学び」の関連、またそれを支える教師の協働の内容を検証する。

インドネシアの学校はコロナ禍の中、約2年間オンライン・遠隔教育を中心に授業が行われて来ており、学びの機会の損失が大きい。その中で2022年から新カリキュラムに移行することが発表され、子どもたちにどのような学びを提供できるのか模索されている。

本研究では教育の再文脈化に焦点を当て、インドネシアにおいて「教える専門家」から「学びの専門家」として育ち合う目的でレッスンスタディが実践されている学校及び教師に焦点を当て、(1) 教育移転・教育借用、(2) レッスンスタディ研究、(3) カリキュラム研究、の3点を分析することで、子どもの学びの専門家としての教師について検証する。特にインドネシアの多様な社会文化的背景を踏まえた上で、子どもの学びの専門家として、「アクティブ・ラーニング」が現場でどのように捉えられ、その実践内容を明らかにすることで、現地の社会的構造と現場のニーズを踏まえた問題分析・提言を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止処置により、インドネシアへの渡航が実現しなかったが、文献調査とオンライン調査が進められた。教師の子ども観・授業観と現状のアクティブ・ラーニングの実践を理解するため、調査デザイン設計前の準備的な調査として、11名の教師に聞き取り調査を行った。現行の2013年カリキュラムの導入によりどのような学びが取り入れられたのか、現在どのような授業手法が使われているのか、どのような点で難しさを感じているのかなどを調査した。アンケート調査では、①子どもの学び観点、②子どもの学びを支える専門家としての教師の役割、③AL型授業のデザインの捉え方、④授業の振り返りと改善の意味を中心に検証していく予定である。教師の実践の変化を探る上で重要となる、2013年度カリキュラムと2022年カリキュラムの翻訳と比較分析も開始した。またアクティブ・ラーニングについての研究会立ち上げの準備が進められた。

今後の研究の推進方策

令和4年度は渡航して現地調査を予定しているが、可能でない場合も踏まえ、オンラインでデータ収集並びにアクティブ・ラーニングの研究会を進めていく。令和4年は学びの専門家としての教師を、①「子どもの学び」観、②子どもの学びを支える専門家としての教師の役割、③アクティブ・ラーニング型授業のデザイン、④授業の振り返りと改善の意味、の側面から分析を進めていく。またレッスンスタディ研究会にてこの学びの専門家としての観点と実践がどう変化するのかを明らかにしていく。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の中、現地調査を行うことができず、予定していた旅費や謝金が支出できなかったため、2022年度に繰り越した。2022年度は渡航が可能となる見込みが高いため、現地調査を計画している。それが難しい場合は、オンラインによるアンケート調査とワークショップ、学びの専門家としての実践を行っている教師へのインタビュー調査を計画している。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Historical Development of Lesson Study in Japan2021

    • 著者名/発表者名
      Kusanagi Kanako N.
    • 雑誌名

      Oxford Research Encyclopedias

      巻: 1 ページ: 1-18

    • DOI

      10.1093/acrefore/9780190264093.013.1216

    • 査読あり
  • [雑誌論文] レッスンスタディの再文脈化2021

    • 著者名/発表者名
      草彅 佳奈子
    • 雑誌名

      教育学研究

      巻: 88 ページ: 259~272

    • DOI

      10.11555/kyoiku.88.2_259

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Measuring what matters? mapping higher education internationalization in the Asia?Pacific2021

    • 著者名/発表者名
      Williams James H.、Brehm Will、Kitamura Yuto
    • 雑誌名

      International Journal of Comparative Education and Development

      巻: 23 ページ: 65~80

    • DOI

      10.1108/IJCED-10-2020-0071

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 家庭科教育からのESD/SDGs : 「国連・ESDの10年」の経験を活かし,SDGsの本質に対応する2021

    • 著者名/発表者名
      佐藤 真久
    • 雑誌名

      日本家庭科教育学会誌

      巻: 64(3) ページ: 163-174

  • [雑誌論文] インドネシアにおける総合学習とESD-総合カリキュラムと環境教育プログラム「アディウィヤタ」の実践-2021

    • 著者名/発表者名
      草彅佳奈子
    • 雑誌名

      武蔵大学教職課程研究年報

      巻: 35 ページ: 203-211

  • [学会発表] A Comparative Study of Sustainability in Lesson Study as Learning Community in Japan and Indonesia2021

    • 著者名/発表者名
      Kanako N. Kusanagi
    • 学会等名
      World Association of Lesson Studies (WALS) 2021 Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Revising Your Manuscript for American and European Publishers2021

    • 著者名/発表者名
      Kanako N. Kusanagi
    • 学会等名
      Publishing in English for International Audiences, University of Tokyo International Publishing Initiative (UT-IPI)
  • [学会発表] Learning Community and Tokkatsu Practices in Japan and Indonesia2021

    • 著者名/発表者名
      Kanako N. Kusanagi
    • 学会等名
      International Conference on Lesson Study (ICLS-XII)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Recontextualizing Lesson study: School as a learning community in Japan and Indonesia2021

    • 著者名/発表者名
      Kanako N. Kusanagi
    • 学会等名
      University of Cambridge Collaborative & Participatory Research Network
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Recontextualization of Lesson Study: Sociocultural Gaps between Japan and Indonesia,2021

    • 著者名/発表者名
      Kanako N. Kusanagi
    • 学会等名
      The 8th International Conference of School as Learning Community
    • 国際学会
  • [図書] 秋田喜代美, 藤江康彦編著 これからの教師研究 : 20の事例にみる教師研究方法論2021

    • 著者名/発表者名
      草彅佳奈子
    • 総ページ数
      304-317
    • 出版者
      東京図書
    • ISBN
      9784489023620
  • [図書] 恒吉僚子・額賀美紗子編著『新グローバル時代に挑む日本の教育―多文化社会を考える比較教育学の視座 ―』2021

    • 著者名/発表者名
      草彅佳奈子
    • 総ページ数
      150-151
    • 出版者
      東京大学出版

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公開日: 2022-12-28  

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