研究課題/領域番号 |
21K13542
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
江嵜 那留穂 愛知淑徳大学, 交流文化学部, 講師 (10844459)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 教育格差 / 修学実態 / COVID-19 / 災害 / 南アジア / ネパール |
研究実績の概要 |
本研究は、近年世界的な動きとなりつつある「質の高い教育」を求めるフローが活発化する中、二度の災害を被災することとなったネパールを対象に、コロナ危機が個々の子どもたちの修学実態に与えた影響を解明することを目的とする。研究初年度である2021年度は、コロナ禍における教育の実態調査を実施した。計画当初は現地の学校スケジュールに合わせ、先方の負担の少ない時期に現地調査を実施する予定であったが、現地での新型コロナ感染症拡大等の影響を受け、現地調査の実施が困難となった。そのため、代替措置として、現地の研究協力者の協力を得ながら遠隔調査を行った。 遠隔調査では、政府や国際機関発行の報告書等を収集し、これまでのコロナ対策や取り組みを整理した。また、郊外に位置する学校2校および街中に位置する学校3校の計5校を対象に、校長および教員へのインタビュー調査を実施し、対象地域におけるコロナの感染状況、各校における時系列の対応、授業実施方法・内容、子どもたちの教育へのアクセス方法・状況、課題といった情報を収集した。 遠隔調査実施後、収集データを整理し、データベースの構築を行った。そして、コロナ禍における教育の実態について分析した。その結果、コロナによる第一ロックダウン開始後は、対面授業の代替措置として、テレビやラジオ、YouTubeを用いた教育プログラムの配信や、学校にてオンライン授業が行われていたが、それらにアクセスできる子どもは限られていたことが分かった。とりわけ郊外の学校では、オンライン授業に用いるデバイスを保有していない子どもや、インターネットにアクセスできない子どもが多数存在し、授業の進捗も芳しくないことが明らかとなった。加えて、同じ学校種間における教育格差や、学校内格差も確認されたことから、これまでの教育格差がより複雑化することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症拡大等の影響を受け、現地調査の実施が困難となり、代替措置として遠隔調査を実施できたものの、当初計画していた詳細データをすべて収集することは叶わなかった。ゆえに、次年度にて残りのデータ収集を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目となる2022年度は、引き続きコロナ禍における教育状況のデータ収集・分析を実施するとともに、個々の子どもたちの転校状況および修学状況についての研究を行う。現地調査では、研究1年目にて得られなかったデータや、学籍登録簿等の学校記録を収集する。また、教員に対する半構造化インタビュー調査や家庭訪問調査を実施する。研究成果については、適宜国内外の学会において発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画当初は、二度の現地調査を実施することが計画されていたが、新型コロナウイルス感染症拡大等の影響により実施することが叶わなかった。そのため、渡航費や宿泊費として計上していた予算を執行することができなかった。使用計画としては、次年度の現地調査にかかる経費や、今後の分析にあたって必要な機材や書籍の購入等に充てる予定である。
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