本研究は,産後うつの維持・変遷のメカニズムに関する新たな知見を提供し,妊娠中のストレスおよび乳児の泣き声が産後の母親のメンタルヘルスに与える影響を明らかにした。また,妊娠中の大麻使用が子どもの認知発達および脳容量に及ぼす長期的影響を示すことで,公共衛生政策への重要な示唆を提供した。さらに,実行機能と泣き声処理の脳活動の関連性を解明することで,乳児の泣き声処理の重要な心理・神経基盤の解明とともに,周産期に低下する認知能力に対する配慮・介入の必要性を示唆した。 本研究の成果は,周産期の親の抱える困難の理解を促進させ,子どもの健全な発達を支援するための重要な基礎資料となると期待される。
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