研究課題/領域番号 |
21K13553
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研究機関 | 山口学芸大学 |
研究代表者 |
舩場 大資 山口学芸大学, 教育学部, 准教授 (10851024)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 幼児体育 / 足指筋力 / 平衡感覚 |
研究実績の概要 |
本研究の課題は、現代の子どもの発育課題にあげられる、足指筋力および平衡感覚の向上を目的としている。これらの発育は、不意な転倒を防止する効果や、跳躍系の運動や平衡感覚に関わる運動能力に影響することが分かっている。本研究の対象者は、幼児教育機関に在籍する年齢の子どもである。子どもの足の発育に関わる課題は、もはや現代病ともいえるかもしれない。社会の利便性が増すほど、もしくは社会不安の高まりや少子化により外遊びが減少することで、幼児期の子どもの歩行時間(距離)や運動時間が減少し、運動能力の低下、土踏まずの形成不全などの課題が表面化している。一方で、今日幼児教育機関においても、こうした課題を認識され取り組まれているが、人手不足や専門的な部分で壁に直面することがあるという。そこで、本研究では、これらの課題を解決するために教育機関に過度な負担がかからない持続可能なプログラムを作成することを目指している。 以上の課題に取り組みにあたり、本研究は幼児教育機関にて実践させて頂くことが大前提である。しかし、教育機関の大前提は子どもの安心安全を守ることであり、周知のようにコロナの感染拡大に伴い、継続的に実践活動を実施できる状況ではなかった。 難しい状況ではあったが、(中断や中止が重なりデータとしては不完全ではあるが)部分的に実施できた中で、保育者の活動が子どもの足の発育やバランス感覚に与える影響について知見を得ることが出来た。次に、園独自の環境によって子どもの足指筋力や平衡感覚の発育に差がある可能性が示唆された。 次に、実践ができなかった時間に、先行研究の検討を進めた。特に、幼児期の足の発育に関する先行研究の調査や、対象県内の幼児教育機関で行われている運動教育や遊び場の調査を実施させて頂くことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では、年間を通して年中児の運動能力の変化を調査する予定であったが、コロナウイルスの感染拡大により、協力園からの延期の申し出があり、十分な正確なデータを採取することができなかった。また実践の最中においても感染拡大によっては中止にせざるを得ない状況が続いた。 その結果、データの収集及び比較研究が困難となり、予定していた学会活動や研究活動ができなかった。 しかしながら、(まだ公表していないので詳細は差し控えるが)断片的ではあるがある程度の傾向と可能性が発見された。本年は前年度に得られた知見をもとにデータ採取を完成させる。 また、コロナにより実践研究が出来ない時期に、複数の園とコミュニケーションを取り、協力園が増加した。 以上より進捗状況を(3)やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
前年度得られたデータを前提に、本年では以下の検討を行うことを計画している。 (1)幼児教育機関に在籍する年中児の足指筋力及び平衡感覚の園毎のデータを可能な限り多く収集し、検討する。次に、(2)園ごとの差異を分析し、園のどのような要因によって子どもの対象となる運動能力が高まるのかを比較検証する。(3)この検証をもとに想定された理由を他園にて再現可能な方法にて再現し検証する。この時に園にとって負担にならない方法を提案し、その後園にとって持続可能な方法であったかを調査する。(4)介入したことで子どもの足指筋力及び平衡感覚にどのような影響があったかを検証する。(5)並行して保育者の働きかけや意識調査も実施する。この時、保育者にむけて啓発活動を行った園において、保育者の行動に変容が起きた場合に子どもの上述の運動能力に変化が起きるのかを検討していきたい。 以上の五つの検証を実践する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度はコロナ渦により、本来実施するはずであった介入と実践が出来なかったため、購入予定であった物品がいったん不要となり繰り越しとなった。また物品によっては子どものサイズに合わせたり、人数に影響するものがあるため先に購入することも難しかった。本年は、前年度できなかったことを実施する予定であり、そこで購入したい。 次に、旅費や人件費・謝礼等も同様の状況であった。前年度中断となった実践活動を本年に延期したため、前年度使用予定であったお金をあわせて本年以降に使用する。
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