研究実績の概要 |
2023年度は、過去25年間(1995-2019年)における子どもの平均エネルギー摂取量および平均栄養素摂取量の年次推移を明らかにした研究が専門誌に掲載された。対象者は国民健康・栄養調査に参加した1-19歳(1-6, 7-14, 15-19歳の3年齢区分)の54,871名で、食事摂取量は、世帯案分・半秤量記録法(1日分)を用いて推定した。平均エネルギー摂取量と平均栄養素摂取量の傾向は、Joinpoint Regression Programを用いて解析し、年平均変化率(APC)を求めた。平均エネルギー摂取量は、1-6歳の幼児(男児APC -0.52、女児APC -0.68)、7-14歳の学童期女子(APC -0.21)、15-19歳の思春期女性(APC -0.37 [1995-2014])において減少傾向がみられたが、たんぱく質、脂質、炭水化物からの平均エネルギー摂取量は経時的にほとんど変化していなかった。食塩相当量の平均値は、すべての年齢層で減少傾向を示したが, 15-19歳の思春期、特に思春期男性における2019年の食塩相当量の平均値は、食事摂取基準2020年版の生活習慣病予防のための目標量を上回っており、さらなる減塩の取り組みが必要である。ビタミン(ビタミンA、ビタミンB12、葉酸、ビタミンD、ビタミンK)およびミネラル(カルシウム、鉄、銅)の平均摂取量は減少傾向が認められたが、ビタミンB6および亜鉛の平均摂取量は2001年から変化がみられなかった。全体的な傾向として、エネルギーと栄養素の平均摂取量は減少していたが、一部の栄養素の摂取量は性・年齢層によって横ばいまたは増加の傾向が示唆された。子どもや青少年の健やかな成長と発達に向けて食環境を改善するためには、食事摂取量の継続的なモニタリングとさらなる研究が必要である。
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