研究課題/領域番号 |
21K13556
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松田 壮一郎 筑波大学, 人間系, 助教 (90762675)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ペアレント・トレーニング / 経験サンプリング法 / 子育て支援 / ポジティブ行動支援 |
研究実績の概要 |
(1)未就学児の保護者支援プログラムにおけるワークショップ内容の精査:パイロット研究により、自宅で子育てをしながらのワークショップ参加は極めて困難なことが判明した。しかし、コロナ禍により、研究チームによって託児サービスを提供することが困難な状況が続いていたため、支援プログラムの要素について個別に検証を進めた。 (2)大学生を対象とした経験サンプリング法を用いた幸福度へ及ぼす要因の検討:27名を対象として2ヶ月間、幸福感、誰と何をしていたか、ユーモアの使用について継続的に、毎日参加者から質問項目を回答して頂いた。その結果、「誰と一緒にいるか」「何をしているか」がそれぞれ単独で幸福感に影響しているのではなく、「誰と何をしているのか」が日々報告される幸福感に影響を及ぼすことを明らかにした。 (3)大学生を対象としたポジティブ行動支援プログラムの効果検証:大学生8名を対象とし、思考記録表への記入内容評価を含めたポジティブ行動支援プログラムの効果検証を2ヶ月間に渡って、単一事例研究計画法を用い、実施した。その結果、ベースライン時点で思考記録表への記入記録について妥当性の低い参加者は、介入により妥当性を高める可能性が示唆された。また、ポジティブ行動支援プログラムは、抑うつ度(BDI-II)・状態不安得点(STAI)・ネガティブ感情得点(PANAS(NA))の下降、及びポジティブ感情得点(PANAS(PA))の上昇に資することが示唆された。 (4)更に、本研究課題による成果を、日本心理学会、日本行動分析学会にて発表すると共に、国際誌への論文投稿の準備を進めている。次年度以降、国際的な研究成果を挙げていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定していたよりも、遠隔状況での子育て支援ワークショップへの参加が、保護者にとって負担が大きいことが判明した。負担軽減を目指した施策を取り入れ、2022年度は研究推進へ取り組む。一方、経験サンプリング法による計測の妥当性検証や、ポジティブ行動支援プログラムの効果検証は、当初の計画以上に進展しているため、本研究プロジェクトは、おおむね順調に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を効果的にすすめるため、(1)ワークショップの一部オンデマンド化、(2)託児サービスの研究チームでの提供、を検討しながら、(3)経験サンプリング法による効果検証の妥当性について、検証を進めていく。既に自閉スペクトラム症の保護者を対象としたポジティブ行動支援プログラムの検証データは取得済みのため、成果発表を進めていくとともに、計画に問題がある場合には、外部研究者との協議により原因や問題点を共有しながら、問題の解決を進めていく。
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