研究課題/領域番号 |
21K13557
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳 奈津代 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任助教 (40837499)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 与薬 / 服薬アドヒアランス / 保育園児 / 母親 / 父親 / 薬剤師 / 支援 |
研究実績の概要 |
保育所内与薬(園児に薬を服用させること)による保育士の負担が報告される中、保育所に与薬を依頼するものの家庭では子どもに薬を飲ませられていないなど、薬物治療への意識が十分でない保護者がいることがわかってきたことから、与薬環境の評価と支援について検討している。近年、父親の育児参加が増えており、家庭における父親による与薬の状況を把握し、必要に応じた支援について整理する。 与薬環境を評価できるような質問紙を作成するために、状況の異なる群による予備調査を実施することとした。保育園児の父親と母親を対象として、それぞれ子どもの年齢(3,4,5,6歳)、定期服薬の有無、与薬の困難感(問題なく飲ませられている、与薬が難しいまたはうまく飲ませられないことがある、自分ではほとんど与薬することはない)の項目ごと(48群)に割り付けたオンライン調査を実施した。服薬アドヒアランスや与薬環境に関連する項目では、親の性差、子どもの年齢、定期服薬の有無、与薬の困難感によって回答に有意差がみられた項目は異なっていた。小児の薬物治療に関する一般的な知識では、母親に比べて父親で正しく回答した割合が低かった。さらに、問題なく与薬できている群に比べると、うまく与薬できないことのある群の方が低く、薬剤師などの専門職による支援が必要であると考えられた。「指示どおりに与薬する」行動についての予備調査によって、実行に関する各要因についての知見が得られたことから、翌年の本調査において活用する。新型コロナウイルス感染症の影響に関して、生活の変化はみられていたものの、ほとんどの保護者は保育所内与薬および家庭での与薬については影響がなかったと回答したことから、本調査では先行研究をふまえた内容で実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
父親の与薬に関する先行研究がみられていないことや、「指示どおりに与薬する行動」に関する質問の回答肢を選定する必要があったこと、保育所内及び家庭内与薬における新型コロナウイルス感染症の影響について尋ねる必要性などのために、今年度は予備調査を実施し、与薬行動や子どもの服薬アドヒアランスに関する調査は次年度に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
全国の3歳以上の保育園児を持つ父親と母親を対象として、保護者の与薬行動や子どもの服薬アドヒアランスに関する調査を実施する。与薬に関連する意識や行動を改善できるような支援を整理し、与薬環境を評価できるような包括的指標について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に予定していた「保育園児の父親および母親を対象とした与薬行動の関連要因と子どもの服薬アドヒアランスに関する調査」を2022年度に実施することにしたため。
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