研究課題/領域番号 |
21K13559
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
畑 千鶴乃 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (60550944)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 当事者ユース / セルフアドボカシー / 意思決定 / 参画 / ユース本人の準備指標 |
研究実績の概要 |
今年度は、オンラインミーティングを行い、ON州ライアソン大学とBC州ビクトリア大学双方の子ども・若者ケア学科の教育課程にあるシラバスの詳細を討議することとしていたが、先方の大学機関がコロナ禍により出入禁止となったため、一旦交流を中断した。そのため、もう一方の本研究の目的である、ON州子どもとユースアドボカシー事務所から支援を得る経験をし、当事務所が閉鎖された後も当事者ユースでグループを立ち上げ、ON州政府が提供する子ども・ユース支援に当事者の声を反映したものに再編するよう働きかける活動を起こしたセルフアドボカシー団体Ontario Children's Advancement Coalition(以下、OCAC)と、オンラインによる交流や、コロナ禍における当事者活動についてインタビュー調査を実施した。結果として以下のことを把握した。 第一にOCACを始めとするユース当事者グループと州政府との協議を重ねた結果、州政府による社会的養護サービスにまつわる意思決定に関して、当事者ユースグループと共同で検討にあたると公表した。この州政府による正式な表明により、今後はユース当事者が州政府の社会的養護に関する意思決定に直接参画する道すじが開かれた。 第二にその決定の第一弾として、これまでは18歳になると州政府から提供されるサービスが強制的に終了することで、その後のユースの学業や職業、住居、健康、医療などに負の影響を与えることが積年の懸案事項とされてきたが、この成人期への移行問題を払拭するため年齢で区切るのでははなく、ユース本人の大人への準備指標に即して州政府よるサービスをなだらかに終結させていくよう制度を設計する合意がなされた。これらも当事者ユースによって発案され州政府がその声を汲んだものであった。今後は具体的な協議を重ねて、「ユース本人の準備指標」の枠組みを当事者側が提案する段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
子どもアドボカシーシステムについて研究蓄積のあるカナダのオンタリオ州ライアソン大学とブリティッシュ・コロンビア州ビクトリア大学から助言を得て、「カナダの公的子どもアドボカシー機関からアドボケイトを受けた子どもたちによるセルフアドボカシーの実態」と、「子どもアドボカシーを実践し得る教育課程の全容」を解明することを本研究の目的としているが、コロナ禍で大学機関に出入することが禁止されたため交流を一旦中断した。そのため後者の目的を今年度は達成することができなかった。大学への構内入構が再開したため、次年度に本目的を達成するためのインタビュー調査を再開することとしたい。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ対応が進展しオンタリオ州に訪問できるようになり次第、訪問調査を再開する。それまでは、引き続きオンラインによりOCACを始めとする当事者ユースグループとの交流を定期的に重ねる。またオンタリオ州ライアソン大学子ども若者ケア学科の教員との交流をオンラインにて再開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によりカナダへ訪問することが困難となり、次年度へ研究全体を持ち越すこととした。渡加することができるようになった際には、速やかに訪問調査を再開する。また訪問調査において円滑に調査遂行できるよう、ライアソン大学とのオンラインミーティングによる学術交流を再開する。
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