研究課題/領域番号 |
21K13568
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉田 奈穂子 筑波大学, 芸術系, 助教 (80844711)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ヴァルドルフ教育 / 幼児教育 / カリキュラム / 発達段階 / にじみ絵 / ウェルビーイング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、学校全体で芸術を重視しているヴァルドルフ教育における、何かを描いたりつくったりする造形活動に着目し、その理論と実践の両側面から造形教育の特質を解明し、特に就学前教育から中等教育段階までのプロセスを丹念に追いながら探求することによって、この学校の造形教育がどのように人間の「ウェルビーイング」の実現に貢献しうるのかを明らかにすることである。その意味で本研究は、初等中等教育段階における「ウェルビーイング」を視野に入れた、造形教育のあり方を提案するものである。 1年目は、理論や思想の研究に重点を置いた。特に、先行研究の少ない就学前教育の実際の解明に力を入れた。最初のヴァルドルフ幼稚園は、ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner,1861-1925)の死後、エリザベト・フォン・グルネリウス(Elisabeth von Grunelius,1895-1989)によって本格的に始められた。シュタイナーの思想に加え、彼女の著作や論文とヴァルドルフ教育に関する月刊誌『Erziehungskunst(教育美術)』をもとに学校創設時の教育方法に関する調査を行った。 加えて、研究のアウトリーチ活動として、幼児に対するヴァルドルフ教育を代表するにじみ絵の実践を実施した。1年に渡り、にじみ絵を5歳児に実施し、子どもの描画発達の過程を考察することで、どのように幼児や保育士のウェルビーイングの実現にかかわりうるのかを検証した。 本年の研究成果は、査読付きの学会誌論文、書籍(分担執筆)、学会発表においてそれぞれ発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は文献調査が中心であったため、大きな影響はなかった。
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今後の研究の推進方策 |
文献調査については、国内外のものをできるだけ広く参照し、1年目に引き続き継続していく。国内外の学校の調査を状況を見ながら行い、就学前教育からのカリキュラム解明に努める。 2年目は、これまで実地調査を行っていない、自由ヴァルドルフ学校と保育施設において調査を行う予定である。さらに、自由ヴァルドルフ連盟が公開しているリストには掲載されていないが、ヴァルドルフ教育を長年実践している保育施設や学校で実地調査を行うことで、国内のヴァルドルフ教育の最新の動向を明らかにする。同時に、社会状況を見ながら、以前実地調査を行った東アジア地域の自由ヴァルドルフ学校と保育施設で調査を行う。必要に応じて、オンラインや文献調査に切り替えながら、就学前教育と学校教育の造形活動の違い、カリキュラムを調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染拡大、感染予防対策により、オンラインでの研究会や講演会、学会に実施となったため移動費や宿泊費の支払いの必要がなかった。そのため、次年度の使用額が生じた。次年度以降、実地調査が始まるため、必要経費として繰り越し、計画的な使用に努める。
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