研究実績の概要 |
社会構造の変化や家庭・地域の教育力の低下に伴い,家族の一員として協力することへの関心,家族や地域の人と関わる力,家庭の実践に参画する意識,に課題があると指摘されている.これからの家庭科教育では,これらの課題を克服するために,家族や地域の人など生活を営む上で必要なコミュニケーション能力の育成を目指すことが求められていると言える.そこで,本研究の目的は,中学校家庭科における「対人スキル」育成を目指した未来志向型の授業を開発することである。 令和4年度では,これまで申請者が実践してきた家族関係を題材にした実践研究を整理するとともに,新たな実践開発の可能性を探るために,アメリカThe Dibble Institute社が発行している青年期における恋愛関係,パートナーシップ に関する対人関係の学習パッケージ"Love Notes"を分析した。米国家庭科教育では,家庭を創造する立場としてのキャリア教育,早期妊娠や性感染症,DVなどの予防教育,などの側面から対人関係に関する学習プログラムが散見されている."Love Notes"はルイビル大学の研究者らで学習効果について検証がされ,その結果が高く評価されている(Cunningham M.R. et al.,2016)."Love Notes"は,日本の家庭科教育の家族関係の学習に比べて,幅広い人間関係を題材としており,時間軸的にも現在・将来の自分自身の暮らしを取り上げている.また,オリジナルの教材も多く盛り込まれており,動画教材や思考ツールなどを学習活動として採用しており,学習者の興味・関心を高め,学習しやすい工夫が施されていた.得られた知見を踏まえて,実践を開発することができた。
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