アクターネットワーク理論に基づく音楽授業におけるネットワーク形成の諸相

2022 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 21K13595
• 研究機関: 美作大学
• 研究代表者: 工藤 千晶 美作大学, 生活科学部, 准教授 (30715248)
• 研究期間 (年度): 2021-04-01 – 2026-03-31
• キーワード: 音楽授業 / 音楽クラブ / アクターネットワーク理論 / 関係性 / 授業分析

研究実績の概要

本研究の目的は、アクターネットワーク理論に基づき、音楽授業においていかなるネットワークが形成されているのかを分析、解明することである。
アクターネットワーク理論を応用し、人間と非人間（モノ）の関係を視点として音楽授業を分析する方法を検討した際、学校における音楽活動として音楽クラブで形成されるネットワークと比較することによって、音楽授業のネットワークの特徴がより鮮明になると考え、2022年度の調査対象に音楽クラブも加えることとした。
調査は、所属大学における研究倫理審査の承認を経て行った。小学校4年生の音楽授業と小学校4年生から6年生で構成される音楽クラブを対象として、それぞれ観察、アンケート調査、インタビュー調査を実施した。これらの調査を通して、教員や児童といった人間の関係性のみならず、楽曲、楽譜、楽器などのモノ（非人間）を含めたネットワークを考察するためのデータを収集した。音楽授業では主として合唱、合奏、鑑賞の場面を、音楽クラブでは合唱と合奏の場面を観察した。アンケート調査は、音楽授業と音楽クラブのそれぞれに特有の質問を設定しつつ、双方に共通の質問も設定した。さらに、音楽授業および音楽クラブを担当する教員には半構造化インタビューを実施した。児童へのインタビューについては、観察やアンケート調査を通してより具体的な情報が必要になった場合に行った。
以上の調査と分析の結果は、2023年度に学会あるいは論文で発表する予定である。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の予定通り、音楽授業の観察、アンケート調査、インタビュー調査を行うとともに、音楽クラブにおいても同様の調査を実施することができている。しかし、音楽クラブの調査を加えたことでデータ収集に時間を要し、学会や論文で発表するまでには至っていないため、やや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

2023年度は収集したデータを分析し、学会発表資料や論文を作成する作業を進める。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた学会発表や論文投稿を次年度に持ち越したこと、またipadでの録画をビデオカメラで代用したことにより差額が生じた。2023年度は、パソコンおよびパソコン関連製品を整備する必要が生じたため、それらの費用にあてるとともに、学会発表や論文投稿のための費用としても使用する。