本研究では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で、対面型の地域高齢者と交流するヘルスプロモーション活動が困難となった中、オンラインツールを用いたヘルスプロモーション活動を実施することを目的とした。大学の地域支援活動として、このヘルスプロモーション活動を実施することで、学生の教育ツールとしても効果があるのかを検証することも目的とした。 最終年度である2023年度は、これまでの研究を踏まえて、オンラインでの継続的なオンライン活動を実施した。地域高齢者を1箇所に集合させ、大学とオンラインで繋ぎ、オンライン環境での集団体操とレクリエーション活動を週1回、1か月間継続して実施した。その結果、活動の前に比べ活動後に心理状況が改善し、身体活動量が増加した。また、学生の参加による社会人基礎力については学校法人河合塾と株式会社リアセックが開発したPROGテストを用いて評価した。その結果、活動に不参加であった対照群では点数の変化はなかったが、参加した学生のコンピテンシーは活動後に低下傾向を示した。 本研究3年間を通して、COVID-19感染拡大を受けて発案したオンラインでのヘルスプロモーション活動であったが、予想以上の感染拡大の影響で高齢者が集合できないことがあり、研究が滞った。しかしながら、対面ではないオンラインの関わりであっても高齢者の心理状況や身体活動を改善する可能性が示唆され、さらに大学教育として学生の実体験を伴う世代間交流を図ることができ、学生の社会人基礎力にも影響を与える可能性が示唆された。今後この研究結果をもとに、さらにオンラインでの健康増進及び大学教育活動を発展させ、地域の過疎化が進む日本の新しいツールとして活用できるようにしたい。
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