研究課題/領域番号 |
21K13610
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研究機関 | 熊本高等専門学校 |
研究代表者 |
石田 明男 熊本高等専門学校, リベラルアーツ系理数グループ, 助教 (80633619)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 数学教育 / MCC / 共分散構造分析 / 学習到達度試験 |
研究実績の概要 |
平成26年度に実施された国立高専学習到達度試験の熊本高等専門学校熊本キャンパス3学科の第3学年の学生116名の数学の試験結果を統計分析ソフトウェアRを利用して,共分散構造分析の手法で分析を行った.分析対象のデータとしては,当該年度の結果の内,本校第1,2学年で学習する内容である「数と式の計算」,「方程式・不等式」,「関数とグラフ」,「場合の数と数列」,「平面ベクトルの性質」,「微分・積分の計算」の点数データを利用した. まずはRを利用して得点データから相関行列を計算し,その結果から「既学習内容の理解度が新規学習内容理解度に影響を及ぼす」、「相関係数が高い項目間にはパスが存在する」という仮説の元,観測変数間の関係のみをモデル化し,それを因果関係の大きさが数値として表現された矢印で項目間を結んだパス図を作成した.さらに,得られたパス図から項目間の直接的な影響と間接的な影響を考慮に入れ,第1学年で学習する「方程式・不等式」が第2学年学習内容に与える影響は大きいと考えられるという考察を得た. 得られた結果は本校の特定年度の結果ではあるが,他年度の結果と比較する対象として基となる結果であり,また,数学の教科指導においては高等専門学校のみならず高等学校でも活用できる結果であると考えられ,フリーソフトウェアであるRを用いているため,他高専の結果や他の同様の試験結果の分析に流用できる結果と考えられる.この結果は広く一般に公表するため,令和4年3月25日に開催された熊本高等専門学校メガミーティング2022にてポスター発表を行い,ポスターはインターネット上でも公開されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症への所属機関での対応による業務繁忙のため,計画段階で参加を検討していた日本高専学会の開催までに研究結果を出すことが叶わなかった.その後,単一年度の試験結果に対する分析を実行し,その結果を公表することは出来たが,複数年度の試験結果の分析,比較は実施出来ていない状況にある.
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今後の研究の推進方策 |
前項で述べた通り,研究の進捗状況に遅れはあるものの基礎となる分析結果を出すことは出来たため,複数年度の試験結果の分析及び本校の特色を活かした他キャンパスの試験結果の分析を進める.それらの結果が得られた後,当初計画通りに他高専にも協力を依頼し,さらに一般的な分析を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症への所属機関での対応による業務繁忙により計画段階で参加を検討していた日本高専学会の開催までに研究結果を出すことが叶わなかったため,学会登録費,国内旅費として計上していた直接経費を使用しなかった.次年度に日本高専学会を含めた学会に複数回参加し研究成果発表をするための経費として使用予定である.
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