研究課題/領域番号 |
21K13611
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研究機関 | 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構 |
研究代表者 |
齋藤 崇徳 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 助教 (80781541)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 宗教系大学 / 宗教文化 / 組織社会学 / 組織論的制度主義 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本の宗教系大学において宗教固有の制度や慣習に基づく「文化」がどのように組織の公式構造に組み込まれており、どう普及してきたかを明らかにすることである。具体的には、大学における(1)象徴のシステムと人工物、(2)関係のシステム、(3)反復的活動を対象にして、そこに宗教に関する文化的制度がいかに組み込まれているかを、(1)基礎的データ・セットの構築、(2)歴史的ケース・スタディ、(3)同時代的ケース・スタディ、(4)宗教間の比較という方法を通じて行う。 令和三年度は、先行研究および理論研究の整理、基本的なデータ・セットの構築、ケースの選定と史資料の調査を行った。 本年度の主要な実績としては、次の三点を挙げることができる。第一に、とくに先行研究および関連する理論研究を整理した結果、制度論的な枠組みから以上の対象を捉える重要性が明らかになった。大学における以上の対象についての研究は少なかったが、その理由は分析にあたっての視座が固まっていないことによると思われる。例えば、大学の宗教的な人工物について触れる文書は多いが、それを社会科学的に分析する試みは見られない。第二に、基礎的データ・セットの構築を通じて、多くの大学において宗教的な象徴システム、人工物、反復的活動が見られることが明らかになった。しばしば日本の宗教系大学は「宗教的」ではないという指摘がされるが、組織の公式構造について実証的な分析を行った結果そうとは言えないこと、また、個別の宗教によってその組み込まれ方が異なることが分かった。第三に、以上の二点の結果を通じて、次年度に実施する予定であるケース・スタディの見通しを得た。本研究にかかるデータのうち入手が難しいものについて把握することができた。また、これまでの大学(史)研究ではあまり用いられていない文書資料を分析する必要があることなどが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和三年度に計画していた研究方法についてはおおむね実施することができた。 他方で、研究対象の一つとして設定した「関係のシステム」については、それが個別大学と個別宗教団体との関係を指示する関係から、データ・セットとして十分組み込むことができなかった。また、予想はしていたものの、図書館等での調査がやや制限されていたため、史資料の調査については広く行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和四年度は、歴史的なケース・スタディと同時代的なケース・スタディを実施する。 研究対象の一つである「関係のシステム」については、ケース・スタディを通じて深く分析を行いたい。可能であれば、データ・セットとして組み込む作業を行う。 また、同時代的なケース・スタディの実施が難しい場合は、歴史的ケース・スタディの数を増やすか、対象とする期間を長く取りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を検討していた図書の発行が遅れ、年度内に購入することができなかったため。翌年度に購入する予定である。
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