第一に、組織の公式組織には宗教文化が根付いていることを実証することにより、現代日本の宗教系大学が十分に「宗教的」であることの証左を示したと同時に、宗教系大学の「宗教」について議論する際に取り得る方法論を提示した。第二に、高等教育研究においてその組織を議論する際に文化の要素を無視することは、分析として不十分なものになり得ることを示した。すなわち、今日、「実際的」な主題として議論されているガバナンスやマネジメント、学校法人制度などにおいても文化が確かに関わっている。より本質的に高等教育制度に存在する文化について検討することを通じて「実際的」な主題のさらなる検討が可能なのではないかと思われる。
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