研究課題/領域番号 |
21K13615
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
永井 祐也 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (40814538)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 共同注意 / 不適応 / 母子相互交渉 |
研究実績の概要 |
児童発達支援センターに通園する知的障害幼児とその母親31組 (内、ASD児とその母親28組) を対象に、母子相互交渉場面における母親の注意共有方略の特徴と児の不適応行動との関連を検討した。その結果、ASD児の母親の注意共有方略は、ASDでない知的障害児の母親よりも応答方略の使用率が低いことが示された。また、ASD児の母親の応答方略の使用率と不適応行動、外在化問題との間に正の相関関係が示された。このことから、母親の応答方略の多用は、ASD児の不適応行動を軽減する可能性が示唆された。 また、思春期のASD児の不適応行動と母子相互交渉における母親の注意共有方略を検討するため、研究参加者を募集し、45組の母子相互交渉場面の観察調査、母親への面談調査と質問紙調査を行った。さらに、研究計画当初予定していなかった比較対照として定型発達児とその母親を募集し、48組の調査を行うことができた。 本申請課題は母親の注意共有方略という人的環境に着目しているが、物的環境が共同注意の成立頻度に影響すると考えられる。そこで、SHAKESYNCという光る玩具がASD児と周囲の他者との共同注意の成立頻度を高めるのか検討するために、神吉輝夫氏 (大阪大学産業科学研究所) との分野横断型共同研究として開始した。発達障害児19名と児が利用する児童発達支援事業所の支援員がSHAKESYNCを用いて相互交渉する場面の観察調査を行った。このように、当初の研究計画を上回る調査を実施するに至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の目的は、母親の注意共有方略に着目し、母子相互交渉における共同注意の成立頻度がASD児の不適応行動に及ぼす影響を実証することである。この目的を達成するために予定していた観察調査等を2年目まで実施する予定であったが、1年目において完了することができた。また、上述の通り、研究計画当初予定していなかった比較対照群の調査や申請課題を発展させた分野横断型共同研究の調査を完了している。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間1年目に予定していた調査活動を終えることができたため、今年度は調査活動で得られた記録の分析を進める。そして、その研究成果を学会の年次大会で発表したり学術論文にまとめたりする予定である。
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