研究課題/領域番号 |
21K13624
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
新海 晃 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (90883918)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 聴覚障害 / 文章産出 / 方略 / 評価 / 作文 |
研究実績の概要 |
令和4年度(2022年度)は,(1)研究フィールドの開拓及び実施可能性の検討,(2)実験デザインの策定及びデータ収集を中心に進める予定であった。 以上のうち,(1)研究フィールドの開拓及び実施可能性の検討については,前年度に引き続き,調査協力が期待される学校における実施可能性等を検討する予定であった。新型コロナウィルス感染症の影響により特別支援学校(聴覚障害)への訪問等を十分に行うことはできなかったが,調査協力が期待される特別支援学校(聴覚障害)の現状を確認するとともに連携の可能性や実施可能性を検討した。これに伴い,(2)実験デザインの策定及びデータ収集については,研究計画及び実験デザインの一部見直しの必要性が生じた。併せて,新型コロナウィルス感染症の影響により実地調査が難しい状況にあった。現在は,既存データの分析により知見の蓄積を図るとともに,得られた知見を参考に実験デザインを再度検討している。なお,既存データの分析では,特別支援学校(聴覚障害)の中学部及び高等部に在籍する聴覚障害児の文章産出について,(A)産出文章の意味的構造の分析(B)筆記中における停滞行動(手が止まった状態)の頻度及び時間を指標とした分析を行った。その結果,(A)については,学部ごとに文章の構造パターンの傾向に違いがあり,既有知識や生活経験による文章産出方略への影響が示唆された。(B)については,中学部から高等部にかけて停滞行動のパターンが多様化することや,同様の停滞行動のパターンを示す場合においても作文評価における評定値に個人差がみられる傾向にあることが明らかとなった。なお,得られた知見については,その一部を第6回広域科学教育学会大会で発表した。また,得られた知見の一部について,日本特殊教育学会第61回大会において発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和4年度(2022年度)は,(1)研究フィールドの開拓及び実施可能性の検討,(2)実験デザインの策定及びデータ収集を中心に進める予定であった。しかしながら,新型コロナウィルス感染症の影響により特別支援学校(聴覚障害)への訪問等を十分に行うことができず,進捗がやや遅れることとなった。また,実施可能性の検討に伴い研究計画及び実験デザインの一部見直しの必要性が生じ,併せて新型コロナウィルス感染症の影響により実地調査が難しい状況にあった。そのため,データ収集を含む研究全体の進捗が遅れることとなった。一方,既存データを用いた分析により,知見の蓄積を図った。現在,実験デザインの修正及び準備を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度(2023年度)は,令和4年度に検討した実施可能性及び既存データの分析により得られた知見に基づき実験デザインを確定し,データを収集する。実験デザインの策定及びデータ収集に際しては,研究全体の進捗状況が遅れていることや今後も研究者が学校を訪問しての実地調査が困難となる可能性を踏まえ,実験課題の精選や実施方法の工夫等を行う。また,既存データの活用により知見の蓄積及び本研究で得られる知見の補強を検討する予定である。なお,本研究の成果については,各種の学会大会にて発表するとともに,学術雑誌や大学紀要への掲載をもって公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
得られたデータの分析・評価に際し研究協力者への謝金の支払いを予定していたが,新たなデータの収集が難しかったため,人件費・謝金の執行に至らなかった。令和5年度(2023年度)にはデータ収集を予定しており,収集後に研究協力者をアルバイト雇用し人件費・謝金を執行する予定である。
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