研究課題/領域番号 |
21K13627
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
朝岡 寛史 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (20808042)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 母語 / 直示動詞 / 発達的特徴 / 指導プログラム |
研究実績の概要 |
本研究では、自閉スペクトラム症 (autism spectrum disorder; 以下, ASD) 児における適切な直示動詞「行く/来る」使用の促進を最終的な目的とし、日本語、中国語、または英語を母語とするASD児を対象に、直示動詞使用の発達的特徴を解明する。それを踏まえ、日本語を母語とするASD児に対する直示動詞の指導プログラムを日本語以外の言語に拡大する。 2021年度は、研究1として、先行研究から発達的な変化が起き始めると予想される生活年齢6歳代の日本語を母語とする子どもを対象に、直示動詞「行く/来る」使用時における言語表出および上半身の身体運動の方向や移動量を指標とした発達的特徴を調査した(コホート研究)。また研究2として、6歳から8歳までの知的障害を伴わない日本語を母語とするASD児を対象に、ASDの模倣特性と言語の特徴を踏まえた指導プログラムを導入してその効果を検証した(事例研究)。研究1・2の結果から、発達的特徴および指導プログラムの効果の一端が明らかにされた。具体的には、参加児の適切な身体運動の出現を促進すると予想された環境条件 (二者間の空間的位置関係および上半身の運動) を導入し、徐々に日常生活の状況に近づけていくことで、「行く/来る」の獲得が促進された。これらの結果から、質問文の型に応じた位置関係に並び、相手がどの方向を向き (相手の顔への視線停留)、どの方向に動いているか (上半身の動きへの視線停留) に注目し、自分自身の身体を相手の動きに同期させることが有効であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本語を母語とする定型発達児・ASD児を対象とした研究のデータ収集は概ね順調に進んでいるものの、当初計画した英語ならびに中国語を母語をする定型発達児・ASD児を対象とした研究が実施できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
国内の研究実施を計画に従って進めるとともに、国外での実施はオンラインも活用しながら実施ができるように計画を一部修正し、研究を推進していく。
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