研究課題/領域番号 |
21K13630
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
鈴木 賢治 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 講師 (90433599)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 視力 / 重症心身障害児 / 視線解析装置 / 選好注視法 |
研究実績の概要 |
視力は視機能を評価する最も一般的な尺度であり、視力検査の多くは被検者の自覚をもと評価される。しかし、重度の肢体不自由と知的障害を併せもつ重症心身障害児は自発応答が乏しく視力を的確に評価することが難しい。そこで、本研究課題では視線解析装置を用いて重症心身障害児の視力を客観的に評価することを目標としている。 本研究課題の対象は重症心身障害児であるため、検査は侵襲がなく他覚的に評価できる方法がのぞまれる。また、視力を測定するという目的上、視覚刺激の提示方法と評価法について慎重に検討する必要がある。 2021年度は課題で使用する機器を選定した。乳幼児の視力検査に選好注視法を利用した方法があり、本研究では選好注視法の理論に基づき、被検者の眼球運動を視線解析装置で記録し、客観的に評価する方法を検討している。そのために必要な視線解析装置と視覚刺激の提示装置として、適切な機器を選定するため、いくつかの機器による予備実験を行い、本研究の目的に即した機器を導入した。視線解析装置は非接触で視線位置のデータを取得できるため、被検者への負担が少なく、本研究の根幹をなす機器である。本研究で選定した視線解析装置は、既存の装置のなかでも軽量で利便性が高く、視線位置のデータ以外に瞳孔のデータも取得可能であり、視覚刺激に対する反応を多角的に評価できる装置である。また、視覚刺激の提示装置には既存の製品のなかで、画素密度とモニタサイズが高いものを選択した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では2021年度に機器の選定を行い、健常者による予備実験を実施する予定であったが、機器の選定に時間がかかり予備実験まで至らなかった。機器の選定に時間がかかった理由として、計画段階で想定していた視線解析装置では、視覚刺激の提示装置として使用する予定の高解像度モニタからの出力に十分対応できず、測定されるデータの精度がやや低下する可能性が考えられたためである。このことは、モニタの映像を出力する際にデータサイズを下げることで、モニタで高解像度の視覚刺激を提示しつつ、従来のパフォーマンスで視線解析装置を使用できるようになり解決した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では2022年度に健常者で測定されたデータを解析し、その後本実験の対象を選出する予定であった。進捗状況に若干の遅れがあるものの、健常者での予備実験を9月までに行い、並行して本実験の対象をリクールすることで、進捗の遅れを取り戻すことができると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
機器の選定と物品の購入に時間がかかり、2021年度に予定していた経費の使用に遅れが生じたため。
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