本研究では,大学生を対象とした問題変形作問に関する実験を行い,問題変形が多くできる学生とそうではない学生の思考プロセスの差異を明らかにすることを試みた.その結果,問題変形が多くできる学生は,そうでない学生と異なり,隠されたパラメータの発見とパラメータの組み合わせにおいて,有意に多く実施していることが明らかになった.その結果と外部尺度との関連性を分析しており,現在論文を執筆している. また,それらの知見をもとに,テキストベースの対話式問題変形作問学習支援システムを試作し,それらの効果を検証している.その結果,問題変形がさほどできない学生でも,システムの支援により多くの問題変形ができることが示された.こちらも合わせて論文を執筆している. それらの結果に付随し,数学教育,プログラミング教育における問題変形作問の実践例を示した.問題変形作問を取り入れた実践授業により,問題構造理解を促し,これまでより問題解決力が高まる可能性を示した.数学教育では問題変形のみならず,確率教材を用いた実例を示し,プログラミング教育では元のソースコードと与えられた問題との関連性に着目した実例を示した.それらの実践的評価を現在進めている. 以上のように,問題変形作問に関する実験,テキストベースの問題変形作問支援システムの開発,複数教科における実践事例を提示することができた.これらのことから,概ね研究目的は達成され,今後の研究につながる知見を得ることができたと考えられる.
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