研究課題/領域番号 |
21K13656
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研究機関 | 鶴岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高橋 聡 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30783493)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | IoT / 先端IT人材育成 / 教育デバイス |
研究実績の概要 |
本研究課題は,学生自ら主体性を持ち,「十分な知識を持った人材」,「製品やサービスを具体化できる人材」の教育モデルの確立を目的とした先端IT人材育成の教育モデル実現に向けた教育実習型IoTデバイスの創生を研究の目的として実施している. 交付申請書に記載した研究実施計画では初年度(2021年度)において,本研究で創生する教育実習型IoTデバイス試作品を完成させることである.本研究の試作品を完成させるための具体的な課題は,独自的な部分であるセンサアタッチメント部の複雑な形状による造形精度が低いことが挙げられた.試作品のセンサアタッチメントは教育実習型IoTデバイス本体に押し込み,センサアタッチメントを挿入するだけで電気配線と接続する方式を採用していた.しかしながら,センサアタッチメントを抜き出す際に必要な構造が複雑な形状となっており,造形精度の低下を引き起こしていた. そこで初年度(2021年度)の本研究では,押し込み式のセンサアタッチメントではなく,上からスライドしてはめ込む構造を新たに設計し,取り外す際も下からスライドして従来手法よりも簡単にセンサアタッチメントを脱着されることができる構造を新たに開発した.この構造は,従来のセンサアタッチメントを挿入するだけで電気配線と接続できる特徴も踏襲しており,また抜き出すための構造必要ないため従来のセンサアタッチメントと比較し造形精度も大幅に向上させる結果となった.センサアタッチメントを上下スライド構造としたことにより,従来の独自性も維持しつつ造形精度の大幅な向上を達成することができた.したがって,当初の予定通り試作品を完成させることができた. 該当年度の研究成果を,令和4年2月28日に催された令和4年東北地区若手研究者研究発表会において【IoT人材教育に向けた学習用IoTデバイスの開発】という題目で学会発表を行い社会への発信を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度(2021年度)の計画であった教育実習型IoTデバイスの試作品はセンサアタッチメントの上下スライド方式することにより,当初の予定通り完成した.また造形精度が向上したため造形で失敗することもなく,当初想定していた教育実習型IoTデバイスの試作個数も多く制作することができた.また,次年度の計画であるGoogle Blocklyを使用した視覚的プログラミング環境の開発も現在着手しており,現状本研究課題は概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,Google Blocklyを使用した視覚的プログラミング環境の開発し,初年度に製作した教育実習型IoTデバイスで使用可能にすることである.本研究は以下の流れで研究を進める予定である. (1)教育実習型IoTデバイスへのGoogle Blocklyの導入として,教育実習型IoTデバイスへのGoogle Blocklyの導入を行うためにはシングルボードコンピュータが必要となる。シングルボードコンピュータとは,必要最低限の機能を有したコンピュータであり,小型で低価格,低消費電力という特徴を有している.様々なシングルボードコンピュータがある中で,本研究で開発している教育実習型IoTデバイスに最適なシングルボードコンピュータを選定し,デバイス本体に組み込むことでデバイスの単一動作が可能になり,実際に小学校等で利用可能なデバイスとなる. (2)Google Blocklyで使用可能なコンテンツの拡充として,IoTの応用として本デバイスは多種多様なセンサを使用できることから,学習者が考えたアプリケーションへの応用も可能であると考えられる.Google Blocklyにはデータ記述言語を1つのブロックとして作成する機能があり,作成したブロックを組み合わせることでプログラミングが可能であるため、このブロックを拡充することで,小学生でも簡単にセンサを使用するためのプログラムを作成することができるため,IoTを学習する際のハードルを大幅に下げることが可能となる. (3)IoT教育モデルの確立として本研究では,学生自ら主体性を持ち,「十分な知識を持った人材」,「製品やサービスを具体化できる人材」のIoT教育モデルの確立を目的としている.この教育モデルは高専の学生をターゲットにしており,本デバイスを実際に実験の時間(90分×5回)の時間内で学習できるIoT教育モデルの構築を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定の学会がコロナウイルスの影響でオンライン開催となったため出費が抑えられ,次年度に繰り越しになった.また,本研究の最大の課題であったセンサアタッチメントの複雑な形状を造形するために,Polyjet方式の【Objet30 Pro】のレンタルを申請書の段階では検討していたが,複雑な形状を取らずに独自性を担保できる新規構造を考案したためFDM方式も3Dプリンターで対応可能になり,レンタル用よりも購入の方が研究の持続性を向上させ,トータルコストを抑えることが可能になったため,その分が繰越になった.これらの費用は,多くの対象者がデバイスを体験できるよう,教育実習型IoTデバイスの造形数を増加させることや,今年度の研究をさらに促進させられるよう研究成果発信のための学会参加費,また最適なシングルボートコンピュータの検討用に充てる予定である.
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