研究実績の概要 |
本研究は東京大学の複数の部局に設置されている倫理審査委員会で過去10年間に申請のあった研究計画の分析、委員会で審査を受けず実施された本学の非医学系研究の分析, 本学教職員・学生への倫理審査に関する意識調査および国内外の他機関との比較を通じ、東京大学の倫理審査委員会をモデルケースにして大学における非医学系研究の倫理的配慮および倫理審査の実態を把握し、現状の課題を明らかにするとともに非医学系研究の倫理指針・審査方法の一例を提案することを目的としている。 本年度は引き続き学内の教職員・学生へのアンケート調査を実施して、学内で実施された人を対象とする非医学系研究の実態分析および、倫理的配慮・倫理審査に関する意識調査を主に行った。 実施に当たり倫理審査を必要とする研究の要件の認知度を調査したところ、約三割の研究者が研究の内容によっては倫理審査が必要でないことを知らなかったと回答し、さらに審査の要否の条件を尋ねたところ、どのような研究を実施する場合に審査が必要となるか知っていた研究者は半数弱であることが明らかとなった。各研究者の専門分野ごとに見ると社会学系、教育学系、経済学・経営学系、法学・政治学系といった社会科学分野で認知度が高い一方、情報学系、工学系、数物系といった理工系分野で特に認知度が低い傾向にあった。 さらに、架空の研究を挙げ倫理審査が必要か評価してもらったところ、個人情報を取得する研究の場合審査を受けると回答した研究者が7割以上にのぼった。
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