研究課題/領域番号 |
21K13665
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐井 旭 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 助教 (30868039)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ダーティワーク / 自尊心 / サニテーション / エッセンシャルワーカー / 廃棄物処理 / 都市スラム / インドネシア / COVID-19 |
研究実績の概要 |
現在、世界中で猛威を振るう新型コロナウィルスにより、大量の医療廃棄物や家庭ごみの発生など更なる廃棄物処理の負担が増していることが予測される。特に、低・中所得国の都市スラムなど脆弱なサニテーションインフラ問題を抱える地域では、防護装備不備での廃棄物回収および選別を担うごみ収集人が、感染症罹患などの健康リスクに晒されている。一方、感染を恐れる個人や社会による職業・人格・外観の蔑視を受けることによる自尊心浸食などメンタルヘルスの問題も深刻であると考えられる。
初年度は、コロナウィルス蔓延により渡航計画が難航したこともあり、1.調査地・対象者の選定ならびに関連組織の関係者への説明、2.調査項目について方法論の確認と検討、3.予備調査の内容に基づく成果発信、を中心に行った。以下、それぞれについて簡潔に説明する。 1&2.カウンターパートである、インドネシアのNational Research and Innovation Agency(BRIN)と月例オンライン会議を通じて、調査研究内容の説明ならびに研究協力を要請し、内諾を得た。また、パンデミック渦における、現地事情を加味した渡航調査実施の可能性の検討を行った。具体的には、パンデミック渦において、医療廃棄物など無選別ごみを扱うエッセンシャルワーカーであるごみ収集人(サニテーションワーカー)が、社会からのネガティブなレスポンス(蔑視)に晒されることによる精神的健康(自尊心、QOLなど)への影響の解明に向けて、使用する質問紙ならびに分析方法の検討、半構造化インタビュー項目とその分析手法について、先行研究を整理し、カウンターパートと定期的に協議を重ねた。 3.感染症蔓延前に行った予備調査の内容に基づき、英文書籍執筆(分担執筆)ならびに国内外の学会、シンポジウム等(オンライン)で発表を行い、サニテーションワーカーが置かれた現状を発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの拡大が国内外で深刻な影響を及ぼしていることにより、現地(インドネシア)渡航調査は困難であった。しかし、カウンターパートと定期的に協議を重ねてきたことで、渡航制限緩和下における調査実施の円滑な着手が確約された。また、パンデミック前の予備調査について、英文書籍執筆ならびに国内外の学会・シンポジウムでの発表を通じて、本調査にとって有益となるフィードバックを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目にあたるR4年度は、渡航制限緩和下にあるインドネシアに直接足を運び、各調査項目の解明に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大のため、予定していた海外調査を実施できなかった。やむを得ず海外調査とそれに伴う会費を次年度に繰り越した。
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